断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

多忙な週の終わりに

 忙しめ+風邪気味で更新できず・・・。
 古本屋で確保しておいたタニス・リーの『白馬の王子』をぱらぱらと読み始めました。
 やはり初期のリー作品とは水が合うのか、やたら面白く感じてしまいます。

「魔法のせいか、それとも頭をうったかだな。いっさいがっさい忘れちまうというのは−ええと記憶ソーヒツだっけ?」
「記憶喪失ですよ」馬がしゃべった。
「やっ、おまえは口がきけるのか!」王子は喜んで叫んだ。
「そんなこと、できるわけないでしょう」と馬。「馬が口をきくなんて話が、どこにあります?」
「そうだな」王子は言った。
 王子と馬はさらに急ぎ、道は険しくなり、山々は間近にせまってきた。
 やがて王子はあることに気がついた。
「だけど、おまえはいま、口をきいたじゃないか」
「いいえ」
「いや、たしかだ−そら、いまも言ったじゃないか」
「妄想ですよ」馬は言った。