断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

7/3の覚え書き

 えー、医者の話によるとどこかでウィルスが腹に入り込んだとかで、土曜まで腹下し&高熱を患っておりました。
 例会を休んで体調を整えるべきと頭では理解しつつ、ラインナップがあまりに面白そうだったので、ギリギリまで寝てついつい出席してしまいました。

2部

 サークルの公式例会では初めてD&D4eが立ったのですが、予定時間が17h以内とか書かれており断念。
 キャラを1から作って、Lv5まで成長させてから始めるセッション。かつ、シナリオ内容も詰め込まれている感じの予告だったため、病み上がりの体力では無理だと判断しました。
 ちなみに、20時前に2部開始だったのですが、6時間経過した2時の時点で「キャラクター作成が終了」と聞き驚愕。
 機会が少ないからGMもできることは全部試してみたいという意図なのでしょうが、むしろ正午までに終わるのかという心配も・・・。


 そんなこんなで、狂気の宴を回避して、OBであるIさんGMのパイレーツ!に参加。
 同人RPGですが、取り回しの容易さから、うちのサークルでは根強い人気があります。特にルネサンス期以降の歴史物をやるGMには重宝されている印象。
#乱暴に評すればBRPをいろいろ加工して、ヒーローポイント的な要素を加えたシステムです


 今回は、PCたちがスイス人傭兵となって、時の教皇を守る内容だとの事前説明。
 登場するかもしれない人物として、マルティン・ルターミケランジェロ、フランソワ1世、カール5世の名があげられていました。
 プレイヤー4人の中にその時期の詳細をきっちり記憶していたものがいなかったことと、おそらくGMが先読みを防ぐために投入したと考えられるミスディレクション(年代をぼやかすとか、教皇名とか、ルターがまだ破門されていないとか)により、実際の歴史の流れは判然とせぬままにセッションは展開することとなります。


 で、GMから「PCが4人ともスイス人傭兵だと被るので、イタリア人司祭を入れよう」と提案されたので、自分が名乗りを上げました。結果的には、スイス人傭兵二人、目端の利くフランス系の傭兵、トスカーナの司祭という構成と相成りました。
 自分は「ルターも出てくるみたいだし、教会のあり方に疑問を抱きつつある若い司祭あたりで無難にまとめよう」とキャラクター作成を開始。
 ところが、Aさんのひと言に流されてしまうこととなります。
 彼はトスカーナの司祭と聞いて、こう呟いたのです。


 「・・・トスカーナ忍者?」


 直前の二日間、熱にうなされ全然復調していない自分の脳にその単語はクリティカルヒット。「メディチ家の毒薬」「伴天連の妖術」あたりに連想を展開。妙に伝奇ものめいた思考に引きずられます。
 「きっと子供の頃から薄めた毒を与えられて、今では伝説的なメディチの秘毒さえも耐え抜く・・・とかそんなのですか?」と反射的に反応。かろうじて踏みとどまろうと理性が差配を振るう中、口は「GM、毒薬知識って取っていいですか?」と呟いていたのでありました。
 気がつけば技能割り振りが、交渉系、知識系、無駄に隠密系、戦闘技能皆無な、傭兵団付きの不吉なる司祭が完成。


 なお、セッション終了後「いや、トスカーナ忍者という単語よりも、それに触発されたキャラメイクする方が問題です」と冷静に突っ込まれ、返す言葉なしでしたよ!


 セッションは、教皇猊下がフェラーラ公国を訪れるところから開始。オーストリアの介入問題と、ルター一派の教えが蔓延っていることについて協力を取り付けることが狙いでした。
 PCたち傭兵団は約50名で護衛として同行します。
 ・・・と真面目に進むかと思いきや、さにあらず。
 冒頭で飲んだくれのエロ親父ミケランジェロとの出会いがあったり、出発前にマキャベリ先生の助言を受けたり、教皇がひたすらしょぼくれていたり、枢機卿が信仰心そっちのけでオーストリア派とフランス派で争っているのを目にしたりしたためか、プレイヤーたちの雰囲気が妙なことに。「正史の記憶は曖昧だけど、とりあえずぶっこわしてやんよ」な空気が醸成されていきます。


 そして、フェラーラの支配者アルフォンソ1世は、会談で苦しい台所事情などを伝えた後、突然教皇を面罵。侵攻への疑問もべーらべらと口にし始めます。
 そこで盗み聞きしていたPCたち傭兵隊が乱入してアルフォンソ1世を取り押さえ、ローマへ連行することに。
 調子に乗って「二ヶ月ぐらいで命を落とす分量の砒素を護送するPCに渡し、毎食に混ぜるよう言います。ローマで改心するなら投与を停止、乱心収まらぬようであれば命脈尽きるまで続けるように、と。」とか宣言。
 現地に残ったPC二人は、残された公爵家を取り仕切る女性イエナ・デステから、かなり強引な言でもって協力を取り付けます。
 ところが、フェラーラにオーストリア軍数万が来襲。彼女も連れて、ほうほうの体でローマへと逃亡することと相成りました。


 一方ローマ帰還組は、マキャベリ先生から「家系図によると司祭PCはトスカーナ貴族の血縁らしいから、(還俗?させて)イエナ・デステと婚姻を結ばせればいい。」と吹き込まれ、実行する気満々。
 逃げ帰ってきた二人と合流後、先の計画も含め、将来的には邪魔にしかならないだろうアルフォンソ1世を毒殺する決定がなされ、即座に行動に移されます。
 時をほぼ同じくして、オーストリア軍がローマに攻め入ってきたのでありました。
 そう、世に言う「ローマ略奪」の場に居合わせることとなったのです。


 PCたちは交渉の場に向かいますが、そこで目にしたのは、オーストリア派の急先鋒だったハンス枢機卿が攻め手の将がごとき振る舞いをしている姿。
 彼は約束した話し合いなどどこ吹く風、オーストリア側に雇われた同郷のスイス人傭兵をPCたちにけしかけるのでありました。
 が、フランス系傭兵のマスケット銃狙撃により、右足を吹っ飛ばされるという報いを受けます。
 混乱しつつも多勢が押し寄せようとせん中、スイス人傭兵PC二人の説得あって、同郷のよしみで交戦中のスイス人には見逃してもらうことに成功。辛くも脱出してローマ市内に逃げ込みます。


 だがしかし、市内は既に火の手がまわりはじめ、PCたちは教皇保護を最優先として大聖堂に逃げ込みます。
 退路も断たれ、もはやこれまでかと思ったとき、大聖堂の設計者であるミケランジェロが、サンタンジェロ城への地下通路を準備していたことを告げます。
 渡りに船とばかりに、PCたち一行、集まった傭兵団、教皇、ミケランジェロマキャベリ、酒場のおばさんとその可愛い娘が城へと駆け込みます。
 プレイヤーたちはここに至って「このセッションはどこへ向かうのか」見当がつかなくなります。基本的にプレイヤーが何を言ってもGMが許可してくれるし、歴史もずいぶん変わっているに違いないと考え、落としどころがわからず不安に陥ったのです。
 が、恐ろしいことに実はここまでほぼ史実通りの展開。


 ところが相当追い込まれたPCたちの頭には、(史実通り)城に留まるという選択肢が浮かびません。
 即座に教皇にぼろを着せてローマを脱出。トスカーナで武器商人に偽装すると、船を借りジェノヴァに逃亡を試みます。最終目的地はもちろんフランス。
 このあたりから、教皇が投降するとぐずり始めたので必死になだめます。
 そうこうするうちに、途中でスペインの軍艦に停船を命ぜられ、手入れを受けることとなってしまうのでありました。
 糊塗せんと弁舌を振るうPCたちでしたが、既に疲労の極にある教皇は自ら名乗り出ようとします。
 こんな局面で、我々PCの執る手段はただ一つ!


 まずはスイス人傭兵PCが、進み出た教皇の顔を殴りつけ「水兵さんに失礼すんじゃねえ、このバカ!」と言い放ちます。
 他の傭兵PCたちは口を押さえながら、彼を連行。
 引きずられていく教皇を尻目に、「すいやせん、あいつちょっとおつむがいかれてるんですよ」とうちの司祭が口にします。


 なんという勧進帳
 ・・・当人の意志を一切無視しているという歪みを除けば、ですが。
 教皇猊下に対する敬意とか、PCの頭から吹き飛びすぎですね。


 こうして一行はジェノヴァに到着。
 ミケランジェロ経由で、地元の商人にアルプス越えの馬車を用立ててもらいます。
 けれども、準備が終わる一週間目の日に、4万のオーストリア軍がジェノアに押し寄せます。
 加えて裏切った商人の手引きにより、以前に相対した同郷のスイス人傭兵団がPCたちの逗留する屋敷へ詰めかけるに始末。
 少し離れたところで、御輿に乗って、今度は鎧も身につけたハンス枢機卿の姿も確認されました。
#PCの警戒心がゆるゆるですが、プレイヤーが落としどころに意識を奪われていたためかと・・・


 されどPCたちは屈せず。
 再度の狙撃でハンス枢機卿を落命せしめ、スイス人傭兵PC二人が中心になって足止め部隊を組織。
 残りの一行を準備されていた馬車に乗せ、遁走を開始します。
 足止め組が追い詰められゆき、もはやここまでかと思われたとき。
 遙か彼方(つまり狙撃の範囲外)から、大音声で戦いを制止する命令が響き渡ったのです。


 そこにいたのは神聖ローマ帝国皇帝、並びに幾多の肩書きを身におびるカール5世その人。
 静まりかえった兵どもの前で、彼は妙なことを口にし始めます。
 曰く、ウィリアム・テルの伝説をにわかに信じがたかったため、スイス人に何度か試みさせたが、一度とて成功することはなかった。頭上にのせた林檎を遠距離から打ち抜けるものなのか、勇敢なPCたちの腕を見てみたい、と。
 この皇帝陛下、酔狂を通り越して、常人には及びもつかぬ感覚を身につけておられる様子。
#プレイヤー陣は意図をとらえきれず、大混乱


 スイス人傭兵PC2人にとっては、もはや討ち死にかウィリアム・テルごっこに乗るかの二択であり、一か八かで後者を選択します。
 ここで意志力を温存していた豪腕の傭兵が名乗りを上げ、出目よくかつ意志力を投入したことで、見事クリティカルをたたき出したのでありました。
 大いに満足された皇帝陛下は、そのまま全軍を率いてジェノヴァから撤退。
 PCたちは山道で合流して、無事フランス入りします。
 ここで、今後の展開予想をGMと話し合ってセッション終了。


 まずは、盛り返すにはおそらく100年ぐらいかかるということで、アヴィニョンに法王庁を移転。あ、歴史が繰り返されてる。
 スイス人傭兵たちは今後も教皇に仕え、フランス系傭兵は報償で気ままな生活。
 うちの司祭は、当初の計画通りイエナ・デステと婚姻を結び、フェラーラへの楔として生きることに。
 ミケランジェロはフランスで芸術活動を続行(GM&プレイヤー「でも気風が合わないよね〜」)。
 マキャベリは顧問としてフランスに雇われます(GM「まあ、成功するとは思えないけど・・・」)。
 教皇の意志、完全無視。
 そんなこんなで、ほぼ大団円・・・だった気がします。大切なものをけっ飛ばしている気もしますが。
 歴史はちょっとだけ改変されましたとさ。


 プレイヤーは暴れる人率が高く自由奔放に動き回ったため、皆大いに楽しんでいたのですが、GMが一切止めないのでしまいには不安に陥ってしまいました。落としどころを思考しつつ動くのも時には重要ですね、はい。
 とはいえ僕個人は、思わず長めのレポを書いてしまうぐらいに満喫させていただきました。
 参加者のみなさま、ありがとうございました。
 真面目さの欠片もございませんが、ご容赦のほどを。


 ところでルターさんどこ〜?
 と終了後尋ねたところ、元々登場する可能性は低かったそうです。残念。

3部

 定番をやってぼこられましたよ。
 体調が不穏だったので、5時ごろ退散いたしました。