断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

ひとひねり

 昨日述べたように、プレイヤーのアイデアを拾い上げ、展開に反映していくだけでもセッションは成り立ちます。
 彼らの望む方向に道を造り、適切な障害を設置する。それだけでも、パーティ・ゲーム的な楽しみを満喫することができるでしょう。


 が、それを記憶に残るセッションへと昇華させるためには、もう1ステップが必要だと僕は考えています。
 状況を込み入らせる不確定な要素。
 その混入がより状況を盛り上げてくれることでしょう。


 不確定さを滑り込ませる方法は、システムやGM手法により様々です。
 ルールに依存しないスタイルにおける自然な一歩は、PC関係のこじれがあげられるでしょう。
 分かりやすいのはPC間の利害関係対立でしょうね。ここでいう利益とは、野心の達成から、単純に生き残ること(古典的手法である「脱出ポッドはPC数−1」とか)まで多種多様です。
 PCたちは立場上、あるいは目的上、最後まで一枚岩でいられるとは限りません。
 お互いに妥協点を探ったり、状況を利用しようとしたり、裏切りを含めたカードを準備し始めたりすることにより、状況は一筋縄ではいかなくなります。
 GMはプレイヤーの意図を汲み取りつつ、楔を打ち込んで亀裂を生じせしめてください。ただし、無理矢理争わせるのはよろしくありません。あくまでプレイヤーが自発的に行動することが肝要なのです。


 ルールによる不確定要素の導入は、行為判定そのものから、プレイヤーがPCの感情を制御できない(ヴァンパイアの狂乱など)まで、多くのシステムで試みられてきました。
 多くのRPGは戦闘をクライマックスに持ってくる想定でデザインされており、普段の判定よりもより詳細に行動を処理するため、不確定な状況が作られやすくなっているはずです。戦闘では通常、その不安定なまな板の上にPCの命がのせられており、否応が無しに盛り上がるわけですね。


 もっとも説明が難しいのが、GMが状況にもたらすひねりです。
 GMがセッションの場にセンス・オブ・ワンダーと言い換えることができ、緻密に組まれたシナリオから、即興的な状況変化、GMその人が持つ特質まであまりに幅が広すぎるのです。
 つまり各GMが得意とするものによって、不確定さを混ぜ込む手段は異なります。
 さらに受け取る側のプレイヤーによって、効果のほどが大きく変動します。
 時にセッションを盛り上げ、時につまらないものに一変させてしまう代物ですが、個人的にはGMの醍醐味はここにあると考えております。