断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

メタプレイの境界

 本日の非公式例会は、咳が止まらないのでお休みしました。
 半日の午睡で回復の兆しが見えてきたので、ショウガ入りの熱い甘酒を啜りながらだらだらと綴ります。


 RPGにおけるインチキ話題を取りあげた際、「メタ知識を利用する」をチート例としてあげました。
 しかし、PCは知るよしもないプレイヤー知識を用いてキャラクターを動かすことを否定しているわけではありません。プレイヤーがメタ知識を用いることはむしろ、通常のTRPGを成り立たせる上で欠かすことのできない要素です。
 例えば、一切のプレイヤー知識を用いず、キャラクターとしてその場に則した行動を行うとしましょう。
 猟奇殺人事件に巻き込まれたら警察を呼んで、そのまま故郷に帰ってしまうかもしれません。赤ら顔の衛士に追われている浮浪児をとっつかまえて、そのまま引き渡してしまうかもしれません。
 そうならないように設定の外堀を埋めたり、PCにあわせて想定した方向へと導くのはGMの仕事です。けれどもPCたちがシナリオから逸脱してしまうような、イレギュラーな要素を全て排除することは不可能です。
 そのため、GMが「セッションの目的」を告げたり、プレイヤーが「ゲーム世界におけるお約束のPC行動」をとったりすることで、事故を回避する調整を加えるのが一般的です。


 あるいは他のPCが怪しいからといって、ひたすら避け続けたのではセッションが成り立ちません。自分一人が得たシナリオ上重要な情報を握りつぶしてしまい、セッションの場に停滞をもたらす行為も好ましいとは言えないでしょう。こういった場合の潤滑油として用いられる「相手がPCだから存在する最低限の信頼感」もPCの知るよしもない情報であり、メタ知識を用いている証左でありましょう。
 例に限らず、TRPGにおいてはPCが「お話」を成り立たせるための行動を取るために、プレイヤー自身の知識を用いる必要があるのです。意識的にせよ、無意識にせよ、この手の配慮がなければセッションの場で混沌が猛威を振るうことでしょう。
#プレイスタイルやシステムによって「例外」はいくつか存在しますが


 対して、僕が「チート行為」と口にしたのは一線を踏み越えたメタ知識の利用です。
 自分的な基準で簡単にラインを引くと、メタなプレイは次のように分類されます。


イノセント
 先にあげた、ゲームを円滑に進行させるためのちょっとした利用。
 他プレイヤーの助言を受けて行動するなども含む。行動に迷ったときに受けた助言、他のプレイヤーが口にしたアイデアが適切だったとき、それを行動に反映させることはよく起こる。


合法グレー
 単独行動の際、他PCと調査内容が被らないようにする。連絡などをとりあわなくても、既に判明した項目の優先順位が下がるなど。
 PCの合流や意見調整、あるいはGMの望む方向性へと進もうとする。特に序盤。状況やGMの求める行動が、よっぽどずれていない限りは従う。
 プレイヤーとしてネタの先読みして、行動をそれにあわせる。露骨にはやらない。


すれすれグレー
 該当PCが知るはずのない知識による説得や、都合のいい行動をとる。知らないはずなのに何故そういった動きをするのか、論理的説明が伴えば許容されることが多い。
 状況に応じたキャラクターの仮面外し。事態の切迫に伴い、PC設定やそれまでの行動を投げ捨て、思考や行為がプレイヤー化する。反則だが、そうしないと切り抜けられないなどの事情があれば、周りは目をつぶるのが一般的。
 大抵は黒だが、巧みな理由づけがなされているか、情状酌量の余地があるため見逃される行為全般。


真っ黒
 PCの行動を通じてNPCを動かすのではなく、GMに論理的整合性を説いて展開を調整する。
 元ネタからの先読みで先回りを行う。
 ハンドアウトやPC設定で耳にした、自PCが知るよしもない知識を元に行動。(「初対面ですが、そちらのPCを尋問しますよ」「いやちょっとまて。確かに選んだテンプレートは魔族教団の狂信者だが、お前さんのPCは知らないはず」「うちは騎士ですから、権限があるはずです。そうですよね、GM? 部下に取り押さえさせて丸裸にし、契約の刻印がないか探させます」など)


 ・・・全部に例を挙げようとしたのですが、頭がふらふらするので手を抜きました。
 みなさまも風邪にはご注意のほどを。