断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

レムリアの蛮人

Barbarians of Lemuria (Legendary Edition)
 なにかの気の迷いで購入してしまいました。
 失礼ながら期待度ゼロだったためか、表面だけざっと読んだ感想は、予想外の好印象。
 外枠は、旧ソード・ワールドのベースと戦闘と魔法を簡略化して、世界観をルールに取込み、ヒーロー・ポイントを振りかけた感じ。と書いて、説明になるのかどうか・・・。


・概要

  • 基本の判定
    • 能力+経歴(or戦闘能力)+2D6±状況修正≧9 で成功。六ゾロは常に成功、ピンゾロは常に失敗。
  • 能力
    • 「体力(Strength)」「敏捷(Agility)」「精神(Mind)」「魅力(Appeal)」これに4ポイントを割り振り。一つの能力は最大3まで。1つを−1にして振り分けるポイントを増やしてもよい。
  • 戦闘能力
    • 「格闘(Brawl)」「近接(Melee)」「射撃(Ranged)」「防御(Defence)」これに4ポイントを割り振り。一つの能力値は最大3まで。1つを−1にして振り分けるポイントを増やしてもよい。
  • 経歴
    • レムリア世界に合致したキャリアー26種類から4種類を選択。これに合計4ポイントを割り振る。一つの経歴に振れるのは最大は3で、0でもよい。この職歴と割り振ったポイント(=職業への適正やかけた時間)から、どのような人生をたどってきたのか考える。割り振られたポイントは、その職で得られる技術や知識への精通度合いを示す。関連している判定にその数字を加えられる。また、戦闘に特別なボーナスをもたらす経歴もある。26種は次の通り。
    • 錬金術師、暗殺者、蛮人、乞食、鍛冶屋、踊り手、農民、剣闘士、狩人、魔法使い、船乗り、商人、傭兵、吟遊詩人、貴族、医師、海賊、司祭、娼婦、学者、空船乗り、奴隷、兵士、盗賊、拷問人、労働者
  • 出身
    • 出身地を決める。出身にはそれぞれに用意された「恩恵」と「欠点」が存在する。まずは一つの恩恵を選ぶこと。恩恵をさらに得るには、欠点を一つ選ばなければならない。あるいは、ヒーロー・ポイントの最大値を2ポイント削ってもよい。恩恵は最大3つまで取得可能。恩恵には直接何らかの変化を与えるものもあるが、大部分は恩恵に関わる判定時に3D6を振り、一番低いダイスを除去するという処理を行う。欠点は逆に、関連する判定時に3D6を振り、一番高いダイスを除去する。
  • 言語
    • レムリア語に加えて、「精神」と同数の言葉を喋ることが可能。また、経歴によっても得られる場合がある。追加の言葉を1つ得る代わりに、識字能力を選んでもよい。
  • 活力
    • 10+体力=活力 いわゆるヒット・ポイント。0で気絶し、-5で死に至る。
  • ヒーロー・ポイント
    • 恩恵を得るために削らなければ、最初の最大値は5。いくつかの使い方が存在する。「ダイスの振り直し」「成功を大成功に」「大成功を伝説的成功に(六ゾロを振ったときのみ可)」「死を拒む」「傷の回復」「プレイヤーの提案するちょっとした状況の変化を起こす(例:牢屋の壁石が一つ緩んでいることにする)」「その他GMが許可すること」
  • 装備品
    • 経歴と出身から妥当と思われる武器や防具を所持できる。種類によりダメージやペナルティが異なるが、さほど詳細な種類分けはなく、価格設定なども存在しない。
  • 魔法使い
    • 呪文の例はあげられているが、PCが扱える魔法は制限の範囲内で様々な使い方が可能。魔法の規模により、判定の修正と消費する神秘力(魔法使いの経歴が存在する場合のみ存在)が異なる。
  • 司祭
    • 神に奉仕する事によって、フェイト・ポイントを得る。信じる神の支配する状況でフェイト・ポイントを用いて、自分や他人にいずれかの「恩恵」か「欠点」を一時的に付与することが可能。
  • 錬金術師
    • 時間とお金を用いて、様々な魔法薬、デバイス、創造物を作成できる。創り出す物品の準備の珍しさにより、難易度と造れるものの制限が異なる。
  • 戦闘
    • 敏捷に2D6を加えて、行動順を決める。命中に用いる判定も通常と同様だが、対象の防御を差し引いて9以上を出さなくてはならない。経歴によっては何らかのボーナスが得られる場合もある。基本のオプションは「回避」と「二つの武器で戦う」のみ。命中した場合、武器のダメージダイス(+能力による修正)から鎧のダイスを差し引く。大成功ならダメージに+1D6、伝説的成功ならダメージに+6+1D6となる。一ゾロなら不運な失敗となり、武器などを落としてしまう。


 何か革新的なルールが存在するわけではありませんが、荒々しいパルプ・ファンタジーの世界観を上手に取り入れたルールだと思います。簡便なルールですが、冒険を繰り広げる上で必要なポイントをくまなく抑えているのも評価できます。背景世界もそれなりの設定が記載されています。バランスいいなー。
 データ的な有利さをそこまで追求できるルールではありませんし、戦闘も簡単な代物なので、緻密さを求める方には食い足りない内容だと思われます。しかし、粗暴なファンタジー世界の雰囲気たっぷりな英雄譚を満喫できるだけの材料は揃っております。軽量なルールは初心者にも最適と言えるでしょう。DriveThruRPGでの評価が高いのも納得。
 適当なシステムが見つからなければ、新歓期にやるかもしれません。