断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

判定結果と意志決定

 TRPGの醍醐味は、プレイヤーあるいはキャラクターの判断と行動がセッションを動かすことでしょう。
 物語的な意志決定、ゲーム的な有利さを求める意志決定、キャラクターの目的追求のための意志決定、など様々な判断がゲームの流れを形作っていくのです。
 プレイスタイルによってどれを重視するかは異なるでしょうし、それについて論じたり分類することには意義を見いだせないため、ここでは扱いません。
 意志決定の結果をルール面からサポートするアプローチについて、簡単にあげてみます。


1.サポート無し
 プレイヤーは判定結果を左右できるリソースを持ちません。
 なので成功を求めるなら、自らの得意とする分野を用い、出来る限りリスクを少なく、判定に有利な修正を得られる状況を作り出す必要が出てきます。
 安全ネットがない分、シビアで緊張感のある判断や、思いがけないアイデアを引き出す妙があります。


2.ヒーロー・ポイント
 プレイヤーは、つぎ込むことで判定結果をプラスにできるリソースを有しています。
 これによって、プレイヤーが重要だと判断した判定の成功率を引き上げることができます。
 PCが共有する明確な目的(悪漢を戦闘で打ち倒すなど)があるならばそこに集中して費やせばいいし、個人に脚光が当てられているならば当人の目的達成に使っていくこととなるでしょう。
 同時に、用いた時点で、プレイヤーかキャラクターにとって何が重要なのかが決定し、明確な形で参加者に告げているとも言えます。


3.判定にプレイヤーの選択を組み込む
 判定ルールに、プレイヤーの意志決定を反映できるからくりが組み込まれています。
 プレイヤーが成功を求めるならリスクが高まったり、最重視すること以外の状況を悪化させる可能性が出てきます。


 他にもありそうだけど、風邪薬のためか思考の焦点が合わない頭では思いつきません。
 この3要素はルールによって単独で使われることもあるし、複合している場合もあります。
 2番目は多様な形式を持つため、ひとまとめにするのは乱暴なのですが、分類し始めると切りがなさそうなので・・・。
 3番目がわかりにくいかもしれません。古くはトランプなどを手札から出す判定システムのゲームに、その萌芽が見られます。重要な判定に切り札を取っておき、重要度の低い判定は失敗することを選ぶわけですから。(実際には、状況を左右しない無駄な判定を求めわざと失敗し、手札を調整するケースが多いのは存じております)
 3番目の一つの完成形はDitVだと思います。プレイヤーが諦めない限り(手持ちの)あらゆる手段でコンフリクトの勝利を追求できますが、過程や結果で被るリスクは増大していきます。そして、見合わないと判断すればいつでも降りることが可能なのです。判定を通して、プレイヤーは意志決定とその再確認を行うことになるわけです。


 当たり前ですが、どれが優れているかを論じる意味はありません。
 どういった傾向のセッションを行うかで使い分ければよいだけのことです。