断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

自分のGM傾向の変遷

 今でこそ、GMするのはナラティブなRPGが中心ですが、意識するようになったのは一年ほど前からです。
 自分の元々のシナリオ作成は、バックストーリーや雰囲気の種は比較的力を入れて作るけれど、本編の起伏などはあまり考えないというものでした。
 一回一回、だいたいの内容を頭に入れていくので、セッション時に参照するのはNPC名と覚え書きメモ程度。
 GMスタイルとしては、セッション中シナリオに目を落とすことは少なく、ほぼずっとプレイヤーの方を注視しています。描写と台詞は9割以上アドリブで、きちんとしたものを準備することは、あまりありません。
 現役時代はそれこそ、数行メモのみで遊んでいたこともしばしば。
#うちの回生で流行していたシナリオ紹介時の台詞という名の言い訳が、
#「シナリオは三行しか書き出していませんが、頭の中には数万行!」
#「このシナリオには無限の可能性があります!」「三行革命です」
#あたりだったので、それを地で行くGM手法だったのかも。


 そんなんですから、プレイヤーが積極的にかき回してくれると盛り上がるものの、プレイ・スタイルによっては噛み合わないこともままありました。
 PCに強い動機(運命)を与える深淵(当時は初版)と相性がよかったのも、当然でありましょう。
 思い返しても、プレイヤー依存度が高すぎる遊び方をしておりましたが、幸いにも50%ぐらいで楽しんでもらえていたようです。博打ですね。
#逆に言うと、それだけプレイヤーに恵まれていた、ってことでもあるのですが


 3年近く前のRPG復帰後は、このスタイルを少し弄りました。シナリオの書き出し分が増えたのです。
 セッション時の記憶力や集中力が学生時代ほどキープできなくなったのが一因ですが、シナリオ本数を増やしたこともきっと影響しています。
 と、申しますのも、現役の頃の作成方法は背景となるイメージをゆっくり構築する必要があったため、量産には全く向かなかったからです。その時期は、一番忙しい年でも10回もGMしたかどうかという、ゆとりある状況でしたので。
 復帰後の一年目は20本と、当時と比べて時間的余裕が少ない割りには、わりと詰めました。
 効率よくシナリオを作成するためには、なんだかんだで書くことが効果的です。
 一年目の終わりには、A4二段組みで10枚近いシナリオ(ハンドアウト込み)を作ることが普通になっていました。


 ところが、詳細を書くようになると、PCの想定行動がストーリーとして、自分の中で完結してしまうケースが発生し始めます。大まかなストーリーラインが動かしがたくなり、最終局面での判断のみで顛末の差異のつくタイプのシナリオになってしまったわけです。
 これが自分のGMスタイルと齟齬を起こします。
 概ね確定された物語は、アドリブで流れを作って行くそれまでの長所を殺すものだったからです。
 自分の考える流れをプレイヤーに押しつける、かつその雰囲気に呑み込むためには、かなりのGM的腕力が必要となります。ハンドアウトでPCの感情を確定しすぎたり、GM判断でさくさくシーン切りなどは、あまりやりたくない性格なので余計に。
 かといって、きっちり書き出すことに慣れると、アドリブ主体で回すのがひどく手抜きに思える。
 昨年度の前半はずっと、この袋小路でもがいていました。


 実は現在も、この泥沼から抜けきってはおりません。
 そのため、シナリオやセッションの質が、今ひとつ安定しないのです。
 とはいえナラティブな傾向を持つインディ系RPGとの出会いで、少し吹っ切れました。
 かつての自分のスタイルに近い遊び方を、より適合したルールやシナリオ作成方法で提示されるのが新鮮でした。より極端化した感も拭えませんが、インディ系RPGを通じて学んだ手法を、そうでないシステムにフィードバックする手続きが徐々に進んでいます。
#京都深淵CONで用いたところ、それなりに好評だったみたいですし
 単に開き直っただけかもしれませんが、いいじゃありませんか。
 寄り道した分、いくつもの価値あるRPGに触れることができたし、幾つかの大切な出会いも得られたのですから。