断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

MLwMの概要

 My Life with Masterは2003年度のIndie RPG Awardsを総なめにしており、日本でも『バカバカRPGをかたる』にて紹介されております。
 PCは非人間的で邪悪なる主人の、奇っ怪なるしもべとなります。ただし、彼らの心は人間であり、町の人々との繋がりを通じて、やがて主人に反抗し死に至らしめることとなります。セッションは、主人亡き後、下僕たちそれぞれの結末を語って終了となります。
 いくつかの斬新なメカニズムを取り入れており、後のインディ系ゲームに与えた影響は計り知れません。


 ゲームの進め方は、キャラクターごとのターン制をとっています。どれか1つの行動が決定されたならロールを行い、結果を得れば次のキャラクターへと移ります。
 これを何れかのPCが主人と戦える段階に、能力の「愛」を高めるまで繰り返します。
 ゲーム進行そのものは、シノビガミと類似しています。MLwMの方が単純で、エモーショナルなところを中心とするのが大きな違いと言えるでしょう。
 基本はショートキャンペーン向けに作ってありますが、調整すれば単発でも遊べます。

  • ゲームの概要
    • 邪悪な主人の哀れなる下僕となって働き、最終的には主人を殺す。
    • PCの特徴ばかりでなく、主人や周辺状況もプレイヤーとゲームマスターが話し合って、セッション開始前に作成する。決めるべき項目は少ないため、さほど時間はかからない。
  • 恐怖の広がり(数値はGMの任意となる)
    • 恐怖(Fear):主人が周囲に及ぼす脅威を表す
    • 正気(Reason):住民が周囲に及ぼす影響を表す
  • 主人の作成
    • 様相(Aspect)を次の二つから選択
      • 知性(Brain):会話を通じて影響を与える。うわべは上品で合理的。
      • けだもの(Beast):より肉体的で原始的な交流を通じて影響を与える。
    • 必要(Needs)と欲求(Wants)
      • 必要:主人が住民から奪い取るもの
      • 欲求:主人の動因。部外者グループ(Outsiders)に対する考え。
    • タイプ
      • 捕食者(Feeder):ドラキュラ、エリザベス・バートリ伯爵夫人など
      • 育成者(Breeder):フランケンシュタイン博士、モロー博士など
      • 蒐集者(Collector):P.T.バーナム、バッファロー・ビルなど
      • 感化者(Teacher):ミス・ハヴィシャム、マルキ・ド・サドなど
    • 領域(街の周辺状況と主人の住処の決定)
  • 下僕の作成
    • 自己嫌悪(Self-loathing):自らの怪物性
    • 倦怠(Weariness):精神と肉体に負った傷
      • 自己嫌悪と倦怠には3点を自由に割り振り(最低0)
    • 人間以上と人間以下(More and Less than Human
      • 人間以上:ほとんど超常的な力。例外も決定すること。
      • 人間以下:障碍や呪い。同じく例外も決定すること。
      • 例外(except/unless):この条件では人間と同等になる
    • 繋がりと愛(Connections and Love)
      • 繋がり:PCが好感を抱く街の住人を二人設定する
      • 愛:繋がりそれぞれに好意を示すことで取得。最初は0
  • 行動の解決
    • ダイス・プール:求められる能力の合計と同数のD4
    • 判定方法:ダイス・プールを振り、4の出目を除いた合計数を比べる
      • 人間以上が使えるなら自動成功、人間以下に当てはまるなら自動失敗
      • 同値の場合:何らかの理由で行動は中断されたとして処理
    • 行動処理:プレイヤーは順々に行動を決定して処理する
      • 主人の命令
        • 主人(恐怖+自己嫌悪)対 下僕(愛-倦怠)で判定する。主人が勝てば町の人々に害をなす命令が与えられる
      • 求める愛を得る
        • 下僕(正気-自己嫌悪)対 繋がり(恐怖-正気)で判定する。下僕は勝とうが負けようが、愛を1上昇させる。下僕が負ければそれに加えて自己嫌悪が1増える。
      • 暴力と悪行
        • 下僕(恐怖+自己嫌悪)対 相手(正気+倦怠)で判定する。相手が他のPCなら、下僕(恐怖+自己嫌悪)対 相手の下僕(恐怖+自己嫌悪)で判定。勝てば自己嫌悪が上昇し、負ければ負傷して倦怠が増加する。
        • 暴力を伴わない悪行は、下僕(恐怖+自己嫌悪)対 相手(正気)で判定。この場合は負けても倦怠が増えない。
    • 親しみ/必死/率直(Intimacy/Desperation/Sincerity)
      • 望むなら判定に、親しみD4/必死D6/率直D8何れかのダイスを投入して、結果をそのまま合計数の加算することができる。下僕、主人共に利用できるが、1回の判定に投入できるダイスはあくまで1つに限られる。それに沿ったロールプレイや演出を行う必要がある。ただし、主人は率直になることができない。
    • 手助け
      • 他のPCを出す蹴る場合、愛-倦怠分のダイスを供出できる。失敗時の効果は共に被ることとなる。
    • 捕縛される
      • 倦怠が正気を上回れば、そのキャラクターは町の人々が部外者連中に捕まってしまう。助け出すためのシーンが次に必要となるだろう。
    • 無垢なるもの
      • 無垢なるNPCの周辺では正気が1上昇する。無垢なる存在が殺されるか、暴力を受けた場合は恐怖が1上昇する。
    • 惨事が姿を現す
      • 自己嫌悪が愛+正気を上回った場合、その自己嫌悪上昇は行われない代わりに次の該当PCの手番が飛ばされる。順番が回ってきたら、主人や他のPCが関与しないNPC間の惨劇を該当プレイヤーは語る。
    • 大詰め(Endgame)
      • PC全員の愛が恐怖+(本人の)倦怠を上回ったのなら、ゲームは終幕へと向かう。その状態で主人の命令を1度拒絶すること。そこから、下僕(愛-倦怠)対 主人(恐怖+自己嫌悪)で、該当の下僕が勝つまで戦いを続けることとなる。それまでの手番、他のPCは自由に行動できる。下僕が勝てば、エピローグへと突入。
    • エピローグ
      • 下僕の現在能力に応じて、6つの結末が準備されている。2つ以上の条件を満たす場合は、プレイヤーが選択すること。