ひっかかり
昨日から手を付け始めたMy Life with Masterですが、文章量があまりないのもあり、何とか読めました。
2003年度のIndie RPG Awardsを総なめにしており、日本でも『バカバカRPGをかたる』にて紹介されております。
確かに斬新なメカニズムを取り入れており、後のインディ系ゲームに与えた影響は計り知れません。
ただし、個人的には何箇所かに引っかかりを感じたため、明日の余興に持っていくかは微妙です。一応サマリーは作成しますが・・・。
このシステム、最初に周辺状況と邪悪なマスターの設定を、プレイヤーとゲームマスターが協力して作成します。PCはマスターのしもべ(心は人間)であり、人間以上の力と人間以下の力、そして好意を寄せる街の住人を二人ずつ設定します。人間以上と人間以下にはそれぞれ例外があり、それに当てはまる場合は常人並みとして扱われます。
このセッティングにはおそらく一時間かかりません。
セッションは、マスターの邪な命令をこなしつつ、住人たちに何かをしてあげることで愛を育てていきます。
プレイヤーは一人ずつ行動(リアクション含む)し、ダイスを振って結果が出たところで、次のプレイヤーへと移行します。シノビガミ形式といえば伝わりましょうか。
行動の度に、PCの能力は変動します。時間と共に徐々にマスターのもたらす恐怖が住民へと浸透していくメカニズムとなっています。マスターの毒牙は、いずれPCの「繋がり」対象にも伸びることでしょう。
ついには、何れかのPCが十分な愛を得て、マスターの命令に反抗することとなります。
そこから大詰め(Endgame)が始まり、マスターがしもべによって殺されたところでエピローグに突入します。
エピローグ時の能力次第で、しもべたちがたどる顛末が決定されるので、それを描写してセッションは終わります。
このシステムは、理不尽で残酷なマスターによる抑圧や、好意を抱いた住民たちに迫る危機といった、プレイヤーの感情的なファクターを動力としています。
大詰めにおけるマスターへの反逆で、それを爆発させてカタルシスを与えるのを目的として組まれています。
この反逆が必ず発生して、マスターは必ず殺されることを、GMもプレイヤーも全員知っているところに、個人的には引っかかりを感じています。
PCや状況への感情移入こそ重要なのに、システムの仕掛けが明示された状態で、果たしてプレイヤーは没頭してくれるのでしょうか?