断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

文化の低かった日

 風邪っ気が悪化したため、半日寝てました。
 あとは積ん読になっていた『キリンヤガ』にようやく取りかかれたり。こういった題材でShockを遊んでみたいけれど、マニアックかつ完全なストーリーゲームは、面子を選ばないと成り立ちそうもないのが困ったところです。
 あと、「散財しすぎた?じゃあフリーゲームだ!」というわけではありませんが、『44: A Game of Automatic Fear』をだらっとざっと読み。ページにユーザー名とメールアドレスを登録するだけでダウンロードできます。インディペンデント系で幾つか作品を出版している方が作成されており、単発向けの小さなRPGですがフォーマットも内容もしっかりしています。
 「1950年代アメリカ。豊かな物質文明が光を投げかける反面、核戦争への恐怖と、ヒステリックな赤狩りが社会に影を落としていた。そんななかでPCたちは、あることに気がついてしまう。自分の近しい人間が、ある日を境に外見は寸分違わぬ何者かに“入れ替わって"しまったことを。セクション44と呼ばれる秘密組織が、人間と機械を密かに取り替えていたのだ。そして、感づいてしまったPCたちにも、セクション44の魔の手が迫っていた・・・。」
 そんな感じの、サバイバル・ホラーであります。時代や設定が重なる作品としては「ステップフォードの妻たち」とか「ボディ・スナッチャー」あたりでしょうか。冷戦期のアメリカSFものは、共産主義への恐怖を日向に陰に取り込んだものがみられます。機械人間はその最たるものの一つでしょう。ピカード艦長もボーグのロキュータスになって「我々はボーグだ。抵抗は無意味だ。お前達を同化する。」とかおっしゃってます。TRPG作品だと、『PARANOIA』がそういった風潮をパロディにしてますね。また、フランケンシュタインの怪物から、アシモフロボット三原則に至るまで、意志ある被創造物とその反逆というネタも定番です。
 ルールの特徴としては、まずプレイヤーに与えられているターン数が4と決定されております。その間協力するなどしてセクション44の陰謀から逃げ延び、ターンがつきたときの判定が有利になるよう動くのが基本目的となります。プレイヤーは、PC作成時にその近しい人々を設定するのですが、彼らは陰謀と関わり、どんどんと入れ替えられていきます。下手をすると、PCさえもセッションの途中で機械人間となってしまうかもしれないのです(その場合はGMに協力して他のPCを追い詰める)。このあたり、ゾンビゲーのエッセンスが嗅ぎ取れます。
 判定は、セクション44の陰謀と戦う際に発生します。この際、近しい人々から協力を得られること。また、「心配事」を利用してそのロールで出した高い出目を除去する代わりに、後の判定にそれを残すことが可能というのが、ルールの大きな特徴となるでしょう。
 演出の半分をプレイヤーに任せ、そこから物語を紡ぎ出すという構造は、独立系らしさが漂います。ざっとルールを読んだ限り運要素が若干強い印象を受け、実際カウントダウンが終了するまでに全滅(というか全員入れ替えられる)することもあり得ると、ルールブックにも記載されております。概ねストーリーゲームの要素が勝っている感じですので、うちのサークルでやるにはあんまし向いてないかも。
 ただし、アイデアとセッティングは光るところがあるで、3部に一度は持っていきたいところ。ルールも軽いですからね。