断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

本日の衝動買いPDF

 AGON
http://www.agon-rpg.com/
 ギリシャ神話をベースにした架空世界で、新たな英雄たちが偉業を打ち立てるRPG。DriveThruでは取り扱っておりませんが、IPRで買えます。例によって、流し読みのつまみ食いのみなので、情報に間違いがあるかもしれません。
 特徴は、PC同士を競争させるという構造。基本の構造では、シナリオの最初で神々から使命が下されるのですが、成功の際に栄誉をたたえられるのは最も多くの栄光(Glory)を稼いだPCのみ! ルールブックにも、二位以下に価値は無い、と明記されていて笑ってしまいました。しかもこの栄光は、苦難を乗り越え(例えば急流を泳ぎ切るなど)たときのダイス目がよいものに配布されます。判定にはD4、D6、D8、D10、D12を組み合わせて使い、得意な分野なら数の大きなダイスが使えます。つまり、苦難を突破するのに、キャラクターが得意な能力を生かすよう考えることが重要なわけですね。
 このままだとパーティがてんでバラバラに行動しかねませんが、それを抑制するのが、お互いに援助しあえる「誓い(Oath)」の存在と、怪物共を打ち倒すためには協力が必要というセッティングです。遊んでみないとどう作用するのか分からないけど、面白い工夫だと思います。キャラクター作成がとにかく簡単で、特に使える魔法はないわ、武器防具の選択肢もほとんど無いわ、設定は「ギリシャ神話です、以上」で問題ないわで、とにかくさっさと始めることができるのも好印象。シンプルな割に、戦闘は相手との距離を調整しつつ最大限のダメージを叩き出す戦術的な動きが求められており、ゲーム的な面白さが味わえそうです。
 で、もう一つの特徴ですが、ずばり「他のRPGにあるような自由度がない」ことです。これはざっと読みの印象ではなく、ルールブックに、そう明記されているのです。
 どういう事か簡単に記します。基本は先にも述べたとおり、セッション開始時にオリンポスの神々から使命が与えられます。で、プレイヤーに内容は明言されませんが、3つの試練+αで目的に到達できるような構造でシナリオを作成することが奨励されています。場合によっては、それもぶっちゃけてok!と書かれています。PCたちは用意された(あるいは派生した)試練を競争と協力を交えながら乗り越え、栄光を積み重ね、最終的には強敵を打ち倒して使命を果たす。それ以外の選択肢は、一切存在しません。もちろん、雑談や工夫の余地といったRPG的な楽しみを奪うものではありませんが、少なくともストーリーは決められた枠と、決定された結末からはみ出せないのです。もちろん敗北して終わる、という別の終わり方はあるにせよ。
 そして、口プロレス行為は無効化されます。行動を決めれば、「必ず」ダイスを振って試練を乗り越えねばならず、口先三寸で逃れることはできない構造だからです。PCの得意分野でダイスが振れるように工夫するのが精一杯です。そして判定のダイス目によって、栄光がもたらされたり、もらえなかったりするわけです。
 データが軽い分、シナリオ作成は容易です。ランダム・シナリオ・ジェネレーターもついてます。ただ、セッションの場においては、PC間の協力と競争、そして決められた使命への邁進以外の要素は排除されています。個人的評価は高いです。ここまで楽しむポイントを絞ったデザインは、逆に新鮮で興味が尽きません。戦闘も面白そうですし、一回遊んでみて、ルールがどう機能するのかみてみたいと思います。無料シナリオが公開されていることですし、近いうちに。
 さて、現実逃避その二、終了。