断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

データ狂時代

 システム世代の話のなかで、後のタイプわけから見事にスルーされてしまったのが汎用RPGです。大きな成功を収めたのが、GURPS以外あまり見られないため仕方がないのかもしれませんが、酷い話。今でこそ、システムの重さがあだとなったのか、プレイされる機会が減っている印象のあるGURPSですが、日本語版が発表された当時は画期的なシステムとしてかなり注目されていた記憶があります。
 私も、長い間『深淵』なんぞをメインにやっておりますが、RPGを知った頃はデータ大好き人間でした。例えば高校の時に一番好きだったのは『メック・ナイツ』というRPGで、荒廃した未来世界でオリジナルのロボットを作ってヘクス戦闘をやるゲームでした。小遣いを貯めて『ロールマスター』を買い揃えデータを眺めてニヤニヤしたりしていた当時の私にとって、GURPSは多くの要望を満たしてくれるシステムに思えたものです。なのであの膨大なデータを眺め覚えていくことは楽しみですらありました。
 どのあたりでデータ狂いが終焉したのかは今ひとつはっきりしません。大学に入る前あたりを境に、その情熱は世界設定を知る方向へと傾いていきました。きっかけだけはしっかり覚えていて、当時RPGをいくつか置いていたおもちゃ屋の棚に売れ残っていた『マルチバース』というシステムを手に取ったことです。このRPGはSFものなのですが、種族を選ぶのではなく「創る」とか、能力値に小数点を設けるとか、画期的すぎて、データ狂の脳みそに衝撃を与えました。つまり・・・ここまで細かくつくることができるのはいいとして、その意味は?、という根源的な疑問を抱いてしまったのです。ここで入ったひび割れはどんどん拡大して、気がつくとデータへの想いは薄れていました。この転機がなければ、後にBローズあるいはFローズやVampireまたは深淵に惹かれることはなかったかもしれないわけで、非常に大きな変わり目だったなと、今でも『マルチバース』には感謝しています(笑)。