断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

クトゥルフ・ダークの概要

Cthulhu Dark
 前にも取りあげた通り、Cthulhu Darkは軽量かつストーリー・ゲーム的なコンセプトでクトゥルフ神話の探索者を遊ぶTRPGです。なんでDarkかというと、本来なら冠されるべきLightという単語がクトゥルフには似つかわしくないから反転させたみたいですね。
 これまで数種のシステムで蓄積されてきたクトゥルフ神話TRPGのシナリオ、つまり長年の資産をルールに関わらず遊べるようにしようというのが基本コンセプトでして、データ的な煩雑さはざっくりカット。調査のプロセスとPCの狂気を中心として、コズミック・ホラーの世界にどっぷり浸れる作りです。
 簡素すぎるので、プレイヤーの半数がクトゥルフ神話TRPG)を知らなければ、何をしていいのか戸惑うかもしれません。
 まだテストプレイ段階ですが、今回はシナリオの作り方まで踏み込まれています。キーパー無しで遊ぶ方向も模索されているようで、実プレイでの感想を絶賛募集中とか。


#3月11日:全体的に手直ししました
#選択ルールのテキトー訳
#シナリオ作成の指針
#この記事と上記をまとめたPDF
#3月14日:RWS管理人さまの指摘により誤訳を修正しました。ありがとうございます。

探索者の作成

 名前と職業とを決め、探索者のありようを記述してください。赤色の狂気ダイスを1個手元に置きます。

狂気

 狂気値は1からスタートします。
 何か心をかき乱す事柄に出会ったとき、狂気ダイス一個を振って下さい。出目が現在の狂気値を上回れば、狂気値を1上昇させて恐怖している様を演じます。

行動

 行動の出来映えを知るには、次の数だけダイスを振ります。

  • 1ダイス:人間の能力が及ぶ範囲の作業であれば
  • 1ダイス:職業に関係する経験の範囲内であれば
  • 狂気ダイス:成功するために正気を危険にさらすなら

 狂気ダイスを投入するか否かは選択できます。 その出目が他のダイス値を上回った場合は、上記の狂気判定を行います。
 最も高い出目が行動結果の善し悪しを示します。1なら辛うじて成功、6なら見事な成功となります。
 例えばインスマス・ホテルの窓から逃げようとする場合。1なら隣家の屋根を壊し、周辺にいるみんなの注意を引いてしまいます。4ならそっと隣家の屋根におりますが、追跡が行えるだけの手掛かりを残してしまいます。6なら、追跡者がホテルを探る間に、静かに脱出することができます。
 調査なら、最も高い出目がどれほどの情報を得られたか示すことになります。1ならシナリオを進行させる上での最低限のみ。4なら力量ある探索者が見つけ出すもの全て。5なら人間の能力が及ぶ範囲の全て。6なら人知を越えた領域を垣間見てしまいます(たぶん狂気判定が必要でしょう)。


例:大叔父の手記を探しています。1なら、「トーマス・ストリート7番居住地(シナリオにおける次のロケーション)」という所書きを見つけます。6なら、2月28日から4月2日までの間、多くの街の住人が巨大で名状しがたい怪物を夢見ていたことを突き止めます。同時に、「栄光の成就」のためにローブを纏うカリフォルニアの神智学集団、 トーマス・ストリート7番居住地のウィルコックス氏を含めた幻視者たちのことも。

失敗

 もし誰かが、あるPCの行動が失敗したほうがより面白くなると考えたなら、どのように失敗するのか描写した上でダイスを1個振ってもらいます。ただし、シナリオを進めるために成功が必須の調査では行えません。
 その出目が、該当PCのプレイヤーが振ったダイスの最高出目を上回ったなら、行動は失敗します。そうでなければ通常通り、最も高い出目から成功具合が決定されます。


例:ホテルの窓から脱出します。今回は、追跡者があなたを捕まえた方がより面白くなると考えた人がいました。お互いにダイスを振って、相手側の方が高い出目を得たなら、あなたは捕らえられます。

振り直し

 狂気ダイスを加えて判定し、その結果に満足できないなら、全てのダイスを振り直すことができます。狂気ダイスを加えていない判定なら、直ちに加えることで振り直し可能です。
 それから、新たな結果を見てください。先と同じく、最も高い出目が行動の出来映えを表します。
 同様に、狂気ダイスの出目が最大なら、ルールに従い狂気判定を行ってください。振り直す前に狂気ダイスが最大出目であったなら、これも含めて狂気判定を行わねばなりません。

協力と競争

 協力:作業に関わるPC全員のダイスを振ります。その中で最も高い値を、結果として採用します。
 対立:対立する全員がダイスを振ります。最も高い出目を得たものが勝利します。同値なら、最も高い狂気ダイスの出目を持つ人物の勝ちです。それも同じなら振り直してください。
 先と同様に、狂気ダイスが最も高い出目なら、狂気判定を行ってください。そして判定結果に満足できないなら、上記のルールを用いて振り直すことができます。

知識の隠滅

 狂気が5に到達したのなら、神話的存在に関する知識を隠滅することで、軽減してもかまいません。例えば、魔道書を焼く、儀式を中断させる、自己破壊的に振る舞う、調査を遅らせる、などがそれにあたります。
 これらの行動を行う度に、狂気ダイス一個を振って下さい。出目が現在の狂気値未満なら、狂気が1減少します。結果として、狂気が5を下回っても、神話的存在に関わる知識を隠滅する行いは継続することができます。

発狂

 狂気値が6に到達したなら、不治の狂気に侵されます。参加者は、キャラクターの心が壊れるこの最後の瞬間に注目して下さい。望むなら、 戦う、叫ぶ、走る、卒倒するなどを試みることが出来ます。
 その後、新しいPCを作るか狂ったままプレイを続けるか選んで下さい。後者の場合、キャラクターをできるだけ速やかに退場させてください。

その他

  • 神話的存在と戦えば、死ぬことになります。コアルールにおいては、戦闘ルールや体調の段階管理が存在しないからです。戦う代わりに、身を隠すか逃げる判定を行ってください。
  • 人間の能力が及ぶ範囲:鍵開け、ルルイエの発見、彫刻の読み取り、何かを思い出す、筋の通った説明で自分を納得させる。
  • 人間の能力範囲外:呪文詠唱、隠された意味を理解、夢の中での行動。機会が訪れれば試みることができます。例えば、パターンに気づいたなら、理解を試みることができるのです。しかしながら「人間の能力が及ぶ範囲」のダイスは得られないので、狂気ダイスを振ることになるかもしれません。
  • 高い出目の成功は、決して調査をすっ飛ばしたりしない:高い出目の成功により、全ての過程をスキップして、シナリオの結末に至ることはありません。従って上記の例にならうなら、大叔父の私物を探す判定で6を振ったとしても、いきなりクトゥルフの眠るルルイエの座標がわかったりはしないのです。
  • 狂気判定を行い成功した場合は、全く問題ないのではなく、なんとか踏みとどまっていることを表します。失敗時は、踏みとどまることができなかったのです。
  • キャラクターシートを用いない場合は、狂気ダイスを用いて狂気値を管理してください。

未回答の問い

 行動の出来映えと興味深いなりゆき、PCを心をかき乱す存在、失敗するか否かの決断。これらを行うのは誰でしょうか?
 理に適うようグループで話し合って決定してください。全てを決断するキーパーを置いても、おかなくてもかまいません。