断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

シナリオの取っ掛かり

 RPGのシナリオ作成は方法が人それぞれなので、他人のやり方を聞いたり、ウェブ上に公開されている文章から知ることには常に興味をかき立てられます。
 TRPGに限らない、その人の思考方法を垣間見るような面白さがそこにはあるからです。
 ゲームとしての組み立てに凝る人、最終的な決断に全てが集約するよう持っていく人、テーマを持ってそこから出来事を構築する人、ゲーム世界の外枠を利用する発想力で勝負する人、などなど色んなタイプがおられます。
 そもそも、最終的に構築されたシナリオは類似していても、発端や過程は全く違うことだってあり得るかもしれません。
#ゲーム・デザインから作者の意図を読み取る楽しみに、似ているかも


 恥ずかしいことに、自分は論理的にシナリオを積み重ねていくのが苦手です。
 たいていの場合、何らかの情景やキャラクターを思い浮かべて、そこに連なる状況を引き出して、つぎはぎだらけの砂城を整えていくのが精一杯。
 例えば「遙か昔に瓦解した灯台跡。夏至の夜に蛍たちがそこに集って、海からだと在りし日の姿が蘇ったかに見える。」とか「男は瞳には恐怖を湛えてつつ、手は機械的に着火作業を開始する。その唇は切り取られており歯が剥き出しだ。突如叫び声を上げる仕草で口を開くが、そこには舌がない。」とか、その辺の想像を引き延ばしたり、複数をつなげたりする訳です。
 各種メディアから受けた印象から構築しているのは間違いないのですが、明確な元ネタがわかるときもあればわからないときもあり。
 セッション時にそのシーンに行き着かないことも起こりますが、あくまでも取っ掛かりだと割り切るようにしています。


 こんなのだから、不揃いな駱駝の瘤のようなバランスの悪いシナリオになることも多々あります。
 例えば、後から接続した情景の方が面白いと感じれば、平気でそっちの比重を上げてしまうため、最初の情景から連想構築した要素が全くの蛇足になってしまったり。
 無駄に複雑化、あるいは要素過剰になってしまうことが多いのは、この効率の悪い構築方法が概ね原因です。


 困ったのはDogs in the Vineyardのシナリオを作ったときです。
 あのシステムは、明確なシナリオ構築方が記載されています。
 人々の高慢が不正義を生み、不正義が罪に発展し・・・といった感じで、人間関係を積み重ねることで街を作成するように書かれているのです。かなり理知的な作りで、記載されている例をヒントに、発展させていくことができるため、論理的思考が得意な方なら1時間もかからずに、爆発寸前の人間関係表が構築できることでしょう。
 ところがこの方法ではカタツムリの歩みでしかシナリオ構築が進捗しませんでした。
 作業的に作ることはできるのですが、ありきたりなネタしか汲み出せず、楽しくないのです。で、やり直しを繰り返してしまうわけですね。


 そんなわけで、未だに別の作り方が身につかないままです。
 どうにかもう少し効率的に、しまりのあるシナリオを作れるようになりたいな・・・。