断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

思い出の断片

 ふと、自分がどういうTRPGプレイヤーなのかなと顧みて、プレイスタイルを変化させた出来事のなかで印象に残っているものをいくつか書き出してみました。いずれも10年ほど前の話です。RPGゲーマーとして不慣れな時期の話なので、自らのかなり困った側面も書きますが、笑って許してください。


命の大切さ
 1回生の前期、初めてのキャンペーンだったSさんのVampireでの話。この頃はまだ、TRPGにさほど慣れておらず、自分のプレイヤー・キャラクターの生死をそこまで重視していませんでした。PCが死んだらそれはそれで仕方ないな程度の認識でした。例えば仲間のPC一人が洞窟の中で化け物に取り込まれて、洞窟が崩壊する中、どうしていいのかとまどってしまい他のPCが必死で逃げ出すからついて逃げた、とかそんな動きをしていました。
 キャンペーンの中盤で、単独行動をして組織に報告電話を行っている時です。突然ゲームマスターがサブマシンガンを構え掃射する仕草をして「ばばばばん、と電話ボックスに打ち込まれます」と迫力いっぱいに言いました。数発喰らいつつ辛くも逃げだし、驚いてそのまま側にあった廃ビルに逃げ込むのですが、銃を構えた連中は容赦なく追ってきます。必死の思いで建物の反対側出口を見つけ、道路へと飛び出すとそこにバイクの音。面識のあるNPCで、ハーレーダビッドソンを駆り、漆黒のトレンチコートにブロードソードを隠し持った謎のヴァンパイアがそこにはいました。とてもハイランダーな感じ。敵か味方かは不明の存在でしたが、手招きしてくれたのでほっとしてバイクの後ろに乗ります。ようやく危機を切り抜けたと気を抜いて、NPCからの質問に答えていると、突然「じゃあ、振り向きざまに剣を抜き斬りつけます」というGMの非常な一言が。哀れ、私のPCはそのままバイクから転落。ヴァンパイアは頑丈なので死にはしませんでしたが、仲間と合流するまで生きた心地がしませんでした。その上、仲間たちには「君たちの友人は斬り殺されたよ」と別のNPCに告げられていたり。
 この時以来、PCの命への執着は確実にあがりました。今ではかなり醜いことをしてでも生き残る行動をとることにさほど躊躇がありません。追い込まれると人間変わらざるえないなということでしょうか。がたがた。


裏切りと暴走
 1回生後期の初め頃の単発セッションでの話。GMは同じく1回生のT君でシステムはストームブリンガー。ボックスで出ていた(第二版)PCがゴミ屑のように死ぬデッドリーなシステムです。少なくとも当時のサークルではPCが悲惨な目にあった末に惨殺されるシステムというイメージがありました(笑)。
 この時に初めて同席したのが大いなるKさん。PCは魔術師ギルドの支部長とその配下みたいなセッティングだったと記憶しています。Kさんは長のPCをされたのですが、つけられた設定が「有能で冷酷な魔術師だが、近隣の村を略奪するなどで財をため込み、金貨風呂を作って楽しんでいる」とかいうどう見ても悪役。PCに悪役設定をつけるのは普通に行われていましたが、ここまで強烈なのは初めてでした。そのせいか「これは最後に殺して欲しいということなのかな?」とか余計なことを考えてしまい、自分のPC設定に「かつて長が焼き払った村の出身で、その時に姉を殺されている。配下として忠誠を誓ったふりをしながら、仇を討つ隙をうかがっている」などという設定を追加。さらにこの設定はゲームマスターのみに見せていました。GMも私も1回生であり、PC間の相互設定があれば調整するところまで気を回すことができず、当のプレイヤー氏には一切知らされないままセッションが始まったのです。
 そして大詰め、PCたちは追い込まれ組織も壊滅状態に陥ります。長のPCは設定に忠実で、逃げる前に金貨風呂から金貨を回収したりしてました。私のPCはそこへ忍びより「姉さんの仇だ、死ね」と斬りつけます。何も聞かされていないのでポカンとするKさん。GMから説明を聞き、私のキャラクターシートに目を通します。そして「そういった設定をつける時はプレイヤーには知らせるか、裏切りの兆候をロールプレイするなりしてください」と注意しつつも、セッションを中断することなくそのまま合わせてくれました。結局、他のPCによって追い込まれた長は死亡、仇を討てなかった私のPCはうわごとを呟く廃人になってセッションは終了します。
 はっきりいって、私の行動は1回生であることを差し引いても問題だらけです。設定の付け方や、それを設定に関連するプレイヤーにも知らせず、裏切りの兆候をほとんど示さなかったのは、該当PCとしても絡みにくく、その上シナリオの目的より自分でつけた設定に固執して最後は暴走してました。にもか関わらず問題点の指摘と注意はされたものの、行動について無理に矯正するのではなく「面白い個性」として許容してもらったのです。その新入会員に対する寛大な教育方針が今の自分を形作っているので、サークルの方々には本当に感謝あるのみです。なお、この癖は(迷惑なことに)制御できるようになるまでは割と時間もかかり、今でも面子によっては時々顔を覗かせます。今年も自分が最年少に近い構成のセッションに呼ばれた時は、最後でひどいことをやらかしてしまい、うけはとったんですが「お前、全然変わらんな〜」と言われてしまいました。三つ子の魂、なんとやら・・・じゃだめなんですけどね!


 他にもあげていたら長くなりそうなので、また気が向いたら・・・。