断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

9/29の覚え書き

 台風が早足で通り過ぎていった日。

1部

 1回HさんGMによる、ソードワールド2.0。
 Hさんは初GMとのこと。
 緩やかな疫病に冒される王国。国王の発症を機に、PCたちが解決のための調査隊として組織される。解決方法を探す中、長らく対立を続ける隣国の影がちらつくのだが・・・。
 みたいな話。
#後でTRPG紹介動画で似た設定のがあったかも、と小耳に挟みました


 PCたちは薬草を探しに森に赴き、敵対国のスパイや突如現れたモンスター相手に奮闘。と、途中まではごく普通の進行。
 ところが、帰還後、敵対する隣国が攻め入ってくる機運ありとの報と、病気から回復した国王が今度は別の呪いを受けて倒れたあたりで、プレイヤーはシナリオの落としどころを見失ってしまいます。
 本来なら「戦争を食い止める」という「ホットでグッド」な冒険者PCにふさわしい、行動選択を想定すべきなのでしょう。
 ところが、今回はGMからの指定で「冒険者ではなく、国に属し、裏切ることのない立場」のPCが求められていました。
 結果、PC5人中3人は、数十年単位で国に仕える要人(ルーンフォーク、フロウライト、ドワーフ)。ドワーフの軍師に至っては、建国以来の忠臣。ルーンフォークのグラップラーは、隣国攻めるべしの、タカ派急先鋒という有様。
 他の2PCは、名誉回復を望む元騎士と、流れ者の医者を自称するグラスランナーという、発言力の薄い面々。
 平和共存を目指すという選択肢には、最初から霞がかかった状態でした。


 結局、王を呪ったのは、私的復讐のために戦争を引き起こそうという我が国の宰相だったわけですが、そんなPC面子であります故、糾弾や排除は頭にも浮かばず。むしろ、有能な人材を失いたくないと、職に留まるよう説得する体たらく。
 他にも諸要因ございまして、「真綿で首を絞めるがごとく」隣国を弱らせるという策謀を実行するに至ります。


 まずは、先に捕らえた密偵5名を拷問で衰弱させ、疫病患者が用いた布団で寝かせることによって、数名を感染させます。その上で人質交換(両国は小競り合いを繰り返していたため、戦場で捕らえられた兵がいたという設定になった)で、隣国に送り返す。
 そんな風にして、自国に蔓延していた疫病を隣国でも広げる試みが行われます。
 特効薬になる薬草は、自国領の森にしか自生していなません。国境の警備を強化して、さらに森にも特別な守りをつけ、時を待ちます。
 やがて疫病が、隣国で流行始めたところで、隣国の村々にてこちらの領土の辺境開拓民を募集。応じたものたちには薬を支給します。一部のものには、当人と家族分の薬を渡した上で、隣国に戻らせ「我々の耳目」として働いてもらうようにしました。
 病の蔓延に頭を悩ませた隣国の使者が、薬を求めに来たところで、こちらは態度を硬化させ、使者を突き返します。2度ほど突っぱねて、全権大使を来させた上で交渉開始。
 こちらは「薬を支給したいのはやまやまですが、我が国も昨年同じ疫病に苦しめられ、自国民に薬草の大半を費やしてしまいました。むろん、王族並びに政府高官の方々の分ぐらいなら用立てできますが・・・」と応対。隣国の王子と王女を一人ずつ人質に出してもらう代わりに、上流階級を救う程度の薬を送ります。
 一般国民の不満が募り、更にこちらの呼びかけによる逃散で一部田畑も荒れ果てた隣国。そこにフロウライトの魔術師PCが、煽動者を進入させ、人々の怒りに油を注ぎます。
 開拓民募集を止め、隣国内の圧力を更に高めたところで、再びの使者。国民のための薬を要求するためです。
 彼をもてなした上で、「残念ながら、薬草はまだ育っておりません。しかし、手ぶらで帰すのも心苦しい。どうかこれらをお納めください」と、馬車数台分の上層階層へのお土産(贅沢品等)を準備。
 使者が帰り、隣国の王城に入ったところで、すかさず扇動家たちに「王族連中は、あの馬車に乗せられていた薬を自分たちで独占している!」と煽り立てさせます。そうして反乱が発生。元の指導者層があらかた排除されたところで、新政府に薬と支援の申し出を行い、同盟を結びました。
 後は領土を切り取りつつ徐々に併合。たとえ、王政復古的な勢力が立ち上がろうとも、旧王国を継ぎうる血縁者は我らの国にて厚遇されている、という対応策が準備済みでした。


 そんなあたりでセッション終了。
 GMが「こんな流れになるとは予想もしてませんでした」とおっしゃってましたが、プレイヤー陣にとっても想像の域外だったと思うよ!
 さすがにグラスランナーPCが義憤を感じ、うちの国王に企みを全て明らかにした上で是正を求めたのですが、呼び出された軍師PCが「国王が呪われた件も隣国の仕業。仕方なく対抗した」と嘘八百で言い抜けてしまい、歯止めはかからず終いでした。
 なお、後半の陰謀、半分ぐらいはプレイヤーとしての私の提案だったりします。
 PC一行をここまで悪辣な行為に走らせた原因の50%は私にあると観て間違いないでしょう。
 落としどころをプレイヤーの側から作るための方策でしたが、GMがアドリブで辻褄を合わせつつ、きちんと対応してくれたので、ついつい興が乗って無茶振りしてしまいました。参加者がみんなこのノリで楽しんでいたから、許されるかな〜、という気分で。
 捕らえたNPCを拷問する機会を得たときに、1回2回のプレイヤー2名が、瞳を輝かせる姿を目にしていなければ、もっと遠慮していたかもしれませぬ。という言い訳。


 初GMにしては、セッション時の応対が上手いなあ、という印象を抱いたので、その点は感想時に褒めておきました。
 ネタの仕込み方を身につければ、楽しいGMライフが送れるのではないかと。
 あと終了時にも口にしてましたが、悪逆非道なPCに対しては、少々ご都合主義であっても、天罰覿面で問題ありません。自分たちも後ろめたいことをやっているプレイヤーは、異議を唱えにくいので。