断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

13th Ageの特徴

 D&Dに連なるD20ゲームの系譜を持ちながら、ストーリーゲームの血を取り入れた新作RPG 13th Age(第十三期)。D&Dの3版および4版に関わったデザイナー2人が作成している事も含め、今年の注目タイトルの一つといえましょう。
 出版元であるPelgrane Pressではプレオーダーが始まっており、予約者にはドラフト版PDFが配布されています。
 Escalation Editionと呼称されるこのバージョンは、イラストがほとんど無く、一部クラスも未完成のままですが、実プレイには支障のないルールが完備されているようです。
 来年にも登場するであろうD&D第五版とは、コンセプトの類似などが何かと取りざたされますが、企画は3年ほど前から動いていたらしく、時期が被ったのは偶然である模様。
 そんなわけで、超ざっと読みしたので、簡単なメモなぞを。

簡素化された基本構造

 まず、D&Dでお馴染みの6つの能力値や、D20を使ったロールなどはそのままです。
 防御要素としては、AC、Physical Defense、Mental Defenseの3つのみと絞り込まれています。
 D&D4eでお馴染みの回復力を採用しており、使用回数は基本8回、回復量はクラスごとのダイスにCON修正を加えたものという方式。レベルが上がるごとに、ダイス数が増大します。
 クラスごとのタレントも、基本は4eに類似した形を取っています。ソーサラーやウィザードなどは、自らのレベルによって、どのレベル帯の呪文をいくつ習得できるか決まる形態であり、全体としてはより以前のバージョンとの折衷といった印象。
 固定化された技能は存在しませんが、特技は健在。特定状況でPCを有利にするボーナスなどをもたらします。
 アイテム・リストは大まかな分類(例えば片手用の小型武器、両手用の重い武器など)しかなされておらず、詳細はキャラクターのイメージに合わせて自由に決定できる作りです。


 レベルは1〜10まで。
 1〜4はAdventurer、5〜7はChampion、8〜10はEpicというランク付けがなされており、それぞれ4eの英雄級、伝説級、神話級に相当するとのこと。
 特技および、特技に関連したタレントは、この3ランクに分類されており、強化することが可能です。
 では次に、13th Age独自の要素をみていきましょう。

アイコン

 13th Ageではアイコンと呼ばれる、13人の強大なNPCが存在しています。
 彼らは世界に次の様な立ち位置を確保しており、PCは彼らのうち数人と関わりを持つことになります。

Archmage:帝国を保護すし、同時に危険な実験もやらかす大魔道師
Crusader:闇の神々の武装した手であり、その怒りはデーモンに向く
Diabolist:邪術に手を染め、デーモンを召喚する、混沌のもたらし手
Dwarf King:地下に住まう、ドワーフの王にして鍛冶の主
Elf Queen:エルフの集う星々の宮廷を支配する女王
Emperor:ヒューマンの大いなる王国、竜の帝国の皇帝
Great Gold Wyrm:深淵と地上の隙間を封ずる、世界の守り手
High Druid:蘇りし自然の主にして、精霊たちを率いるドルイド
Lich King:アンデッドの暴君たるリッチ・キング
Orc Lord:部族を率い、気まぐれな破壊をもたらす伝説的なオーク王
Priestess:光の神々の声を聞き、神託をもたらす女司祭
Prince of Shadow:盗賊、トリックスター、暗殺者を象徴する影の王子
The Three:原初の3ドラゴン

 1レベル時に3ポイントを、好きなアイコンに割り振り、その関係性を「ポジティブ」「葛藤」「ネガティブ」のいずれかに決定します。
 アイコンの助力を得たり、関連する知識を引き出したり、時にはアイコンと対立する者たちと繋ぎを取ったりする(何ができるかは関連性による)際にこれを用います。割り振られたポイント分のd6を振り、6の出目が得られれば望む結果が、5の出目が得られれば望む結果と込み入った成り行きが、それぞれもたらされるというルール。
 彼らとの関係は、キャンペーンを通して変化を続け、やがてEpicランクに達したとき、彼らと直接相対する物語が展開するのです。
 背景世界との繋がりと、PCの立ち位置、加えてキャンペーンの終着点を形作る、興味深いメカニズムとなっております。

キャラクターの背景

 先にあげた通り、このシステムは固定化された技能が存在しません。
 代わりに、クラスごとに決められた背景ポイントを割り振って、プレイヤーが自由にスキルを作り出す方式です。
 例にあるハーフ・オークのウィザードなら、帝国の魔術師+4、黒き牙(黒きWyrmに仕える暗殺者としての訓練)+3、荒れ山の部族+1といった具合です。
 PCの背景を表すと同時に、世界設定の一部にもプレイヤーが関与できる、ストーリーゲーム志向の強い仕組みといえましょう。
 スキル・チェックは、D20+関連する能力修正値+レベル+関連する背景、で行います。

エスカレート・ダイス

 13th Ageの戦闘は、基本的にグリッドなどを用いない、簡便なものとなります。
 これまでのD20系RPGと大きく異なるのは、エスカレート・ダイスというルールの採用です。
 これは、第二ラウンドに+1として場に現れ、ラウンドの経過と共に増大していく(最大+6)修正値です。
 各PCは、攻撃のヒットにこの修正の恩恵を受けることができます。加えて、クラスごとのタレントによっては、この修正が一定の値なければ使用できないとされるものも存在します。
 NPCは一般的にこの修正を利用できません。
 耐えに耐えて大逆転といったヒロイックなシチュエーションを、ルール面から支援するメカニズムといえましょう。

続く?

 省略しまくりの荒い記事で申し訳ありません。
 こちらのプレビューなんかがより参考になるのではないかと思われます、はい。
 余裕があれば是非とも手出ししたいシステムなので、要望があればもっと掘り下げるかも。