断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

5/26の覚え書き

 GM1回で喉が嗄れた日。

1部

 OBのNさんによるアリアンロッド・キャンペーン第二回。
 畿内に攻め入るPCたちのキシダ家。
 領主PCの弟がウオガワ家を攻め滅ぼしに行くための兵と資金をギリギリまで削ったり。朝廷工作に京都へ向かおうとしたら、前回渡されたギルマンの秘宝を奪われたり。それを取り返しに、軍師が単身東北のキバ家に潜入したり。攻め込もうとした国が将軍家に臣従しそうになったので、悪評を流して妨害、交渉がまとまらないうちに攻め滅ぼしたり。
 そんな戦闘無しのお気楽国盗り生活。
 が、領主PCはさして野心が強かったわけでもないので、今回で戦国編は終了模様。
 とりあえず、トウキチロウとかマツエイ・ヒデヒサとか、そういうNPC人名でメタ推理して、重用したり申し出を断ったりするのはよろしくありませんな(笑)。

2部

 自分がGMでVicious Crucible of Verdigris Valley
 昨日も書いた通り、構築済みの人間関係にがっちり組み込まれたプレジェネPCとNPC、場所ごとの状況が記載されたマップを用いて遊ぶ箱庭ゲー。
 二民族が支配権を巡って争う谷間を舞台に、低地の(文明的な)王国が築いた砦に攻め入ろうとする、遊牧民族の野蛮な族長の野心を軸に、揺れ動く情勢とPC個々人の思惑が絡んだ物語を作るという内容です。
 6人の作成済みPCは次のような構成。

PC1:低地民の兵士、口さがなく、上司に信頼されない
PC2:遊牧民と低地民との混血児の少女、居場所を探す谷間のガイド
PC3:低地民砦の騎馬隊の隊長、弟の仇を求める
PC4:両民族を渡り歩く商人、遊牧民の物資を谷間に備蓄
PC5:低地民砦の司令官、野心家で遊牧民への疑心に取り憑かれている
PC6:遊牧民の族長、谷間の奪還のため兵を挙げる

 今回のプレイヤーは5人だったため、GMブックレットに従いPC4の商人をNPC化。
 マルチゲーム的な一触即発の雰囲気から始まり、民族融和を目指すさわやかなエンディングにたどり着くまでの5時間セッション。
 それなりに面白かったと思うけど、それはベテランOB3名に牽引していただいたおかげです。


 所感といたしましては・・・
1.PCの設定は癖が強い
 各PCは、人格的にユニークな欠落部分を抱えております。
 加えて、他の4〜5人のPC/NPCとの関係が組み込まれているため、ルールの指針どおりにプレイすると、そういった人格の負の側面をぶつけ合う事態が起こりかねません。
 等身大の人間らしい欠陥を抱えた主人公たちが、ときに弱さを露呈し、それが物語にうねりをもたらす展開は、米国テレビ・ドラマにおける一つの定番です。
 その感覚を了解した上で遊ぶか、他者を楽しませるためにその手の欠陥をロールプレイできるかしないと、キャラクターに入り込むのがなかなか難しいとの感想を抱きました。
 その上で、キャラクターの考えや立ち位置の変化(PCの成長で指針が示されている)を確立しないと、なかなか話の中でキャラが立ちません。
 特に一回のお二人は、苦戦しているようにお見受けしました。


2.設定に魅力と広がりはあるのか?
 設定が周到に固められた箱庭型シナリオにおける楽しみの一つは、プレイヤーが与えられた素材をいかに膨らませるかという点あると考えています。
 そのため、プレイヤーが思わず手にとって捏ねたくなるだけの魅力を備えていないと、今ひとつ盛り上がらない側面があります。
 その点で、今回のヴァーディグリスの谷間はどうかと申しますと、少々地味で広がりうる余地が狭いかなと。
 上記のように、PCの設定と方向性が内側や人間関係に向かうよう仕向けられているので、余計にそう感じるのかもしれません。


3.キャラクター間の絡みとバランス
 では構築済みPCの、人間関係とその相互作用は上手く機能するのでしょうか?
 6PCの内訳は乱暴に分ければ、低地王国側3、中立2、遊牧民1となります。
 仮に6人でプレイしたとしても、蛮族の族長であるPC6はどうしても他PCとの関わりが薄くなってしまいます。単純な勢力関係ばかりでなく、基地が孤立しており、唯一低地王国の砦に出入りできないのが大きな要因です。
 今回は特に、族長PCが序盤で谷間の農民を虐殺して、その首を槍に突き刺して川辺に並べるという行動に出まして。シーンとしては大いに盛り上がったものの、結果としてその残虐行為を目にした中立よりの2PCが「遊牧民側にはつけない」との決意を固めてしまう結果を生みました。
 相互作用という点からも、この辺バランス調整は今ひとつかなあ。


4.NPCの設定力
 貶してばかりでしたが、動機と行動が細かく明記されているNPCの設定は、GMとしても感情移入しやすく、それなりに楽しんでもらえる演出ができたのではないかと自負しております。
 ここ最近は、NPC設定を軽め(外見的特徴と動機を1行ずつぐらい)にしておいて、実セッション時のPCとの絡みで肉付けしていくことが多かったのですが、設定がきちんとしているNPCは安定感があり、やはり魅力的だなと再認。
 自分ではまず使わないタイプのNPCが違和感なく入り込み、PCたちをかき回す様は新鮮でした。
 2つの方法論のいいとこ取りはできないものかなと、考え中です。


 へっぽこ訳は手直しして近いうちに公開します。
 大いにプレイヤーを選ぶこともあり、実際に遊ぶまでこぎ着けるのは敷居が高い思うのですが、日本では珍しいタイプのPC/NPC設定を笑覧していただければ幸いです。