断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

Monsterhearts正式リリース

Monsterhearts
 現代社会に息を潜める、ティーンエイジャーのモンスターたちを描くストーリーゲーム、Monsterheartsが発売されました。
 IndieGoGoで1万2千ドル近くを集めたシステムであり、ルールはApocalypse Worldの大規模ハック。闇世界の住人ゆえに巻き込まれる(あるいは自ら発生させる)多種多様な超常事件という影の側面と、一般的な十代若者として高校生活を謳歌するという光の側面が入り交じり、行く末が形作られていくわけです。
 最大の特徴は、より簡素化された基本ルールと、プレイを通じてPC/NPC相手にStrings(操り糸とでも訳せばよいのか・・・)を累積していく部分。Stringsは対象への影響力であり、相手への行動を有利にしたり、相手の行動を妨害したり、対象を操作したり、ダメージを追加したりといった用途で使用できます。
 つまり、相手と協力するにせよ、敵対して最終的には殺すにせよ、対象との直接的な人間関係の構築行うことが肝要なのです。そういったやりとりに関わる、各種の手練手管や感情の絡みがセッションの主幹をなすことになるでしょう。
 PCの目的が明確であるにせよ、優位に事態を推移させたいなら、ただそれに直行するのではなく他のキャラクターと必然的に関わっていく必要がある。なかなかに巧みなシステム構成だと私は思います。
 当然、ムーヴもStringsのやりとりに関わるものがいくつか用意されております。それゆえ、ダイス目や他PCの関与によって、他者との対話が拗れたり、想定外の方向に転がっていく可能性は常にあります。
 そういったプロセスに楽しみを見いだせるプレイヤーであれば、Monsterheartsはお勧めのRPGと言えるかもしれません。
 ただまあ、対人関係の梃子として、十代の恋愛感情や性意識がもろに表出してくるので、気恥ずかしい側面もあったりするのですが。


 基金参加者にはボーナスとして、追加の3スキン(クラス)が付属してきます。

虚ろなるもの(Hollow):人造人間やホムンクルス。他者や様々な事象に触れることで、まっさらな自己を、何らかの色に染め上げていく。
セルキー(Selkie):アザラシ皮を纏い、その内には人間そっくりな姿を隠す。皮を奪われ、海の王国に戻ることができない存在。セイレーン的な側面も。
蛇人間(Serpentine):かつて地上を支配した大いなる一族の末裔。一族にかつての栄光を取り戻すべく、尽力する陰謀家。

 有名なクリーチャーではあるけど、吸血鬼や人狼あるいは魔女といった基本スキンに比べるとずいぶんマイナー路線です。特に後者2つは。