断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

1/21の覚え書き

 用事が入ったので1部は欠席。
 2部からの参加でしたが、口が災いを招きまして、帰りは翌日の夜に。疲労困憊でありました。

2部

 自分がGMでDogs in the Vineyard。
 昨日の記事に載せた、コンベンション用カスタム・ルールを使用。
 シナリオは、以前使ったJanuary BranchにNPCを継ぎ足してみました。
 DitVは、架空のアメリカ開拓時代にて、地域宗教の若き異端審問官ガンスリンガーを遊ぶシステムです。


 豊かな濁世たる東部海岸の都市から逃れ、開拓民として西部へと渡った生命の王を信仰する人々。彼らは19世紀半ばのユタ(合衆国に組み入れられ州として成立する前)に散らばって居住し、牙を剥く自然と戦いながら理想的な生活を目指します。
 むろん、人の心は弱きもの。それに禁欲的で窮屈な社会には満足できなくなるものたちも現れます。目に見えぬ悪霊たちは、そんな信徒たちの心の隙間に入り込み、互いに争うように仕向けたり異端の教義を植え付けることで、真の信仰を蹂躙しコミュニティを瓦解させようと暗躍するのです。
 PCたちは、10代から20代初めの若き(純潔の)祭司であり、神の園を守る番犬と呼ばれます。この使命に選ばれ、二ヶ月の訓練を受けた後、銃を手に任務へと送られます。郵便物を届けながら開拓村を回りながら、宗教儀式を手伝い、そこで起きている問題を解決すべく尽力するのです。信徒たちの社会において、番犬は人々を裁き、罪人にはその銃で天罰を与える権限を有します。
 このRPGは、開拓村でのトラブルに際したPCたちが、人間関係の網を紐解きながら罪人を見つけ出し、誰が裁かれるべきで誰が許されるべきかを決めることに主眼が置かれています。そして残念なことに、未熟で衝動的な番犬の介入が事態をさらに紛糾させることすらあるのです。


 人間の浅はかな欲望、信仰と不可分の生活から生まれる狭苦しく互いの目が行き届きすぎたコミュニティ、人種差別や性差別に抑圧される人々、報われない復讐の連鎖、抑えがたい性的な衝動、信仰を持たぬ人々との軋轢など、中心となるテーマは露骨で重苦しいものが多め。
 現実同様善悪の基準は曖昧で、許されざる悪と赦免されるべき不憫とを明確に分ける線はPCに与えられません。よって、プレイヤーの倫理観および価値観が裁きに大きな影響をもたらすのです。
 そんな野心的で危険な部類に入るシステムだと思います。


 今回用いたコンベンション・単発仕様のルールは、主に次のような変更が行われています。

  • 背景ごとのキャラクターシートを準備
    • キャラ作成を早める
    • 特徴付けにある程度の手掛かりを与える
  • コンフリクトのルールを調整
    • エスカレートの利点を強めてアクションを広がりやすく
    • 降りることで得られる利益を増やして敗北も選択肢とする
  • 負傷に関わる悪影響ルールのリファイン
    • 銃を抜かない限り事故死することはなくなる
    • 短期間の悪影響が手早く選択できより多くの不利益をもたらすものに
  • NPC管理ルールの簡略化
    • 能力タイプを選ぶのみでよくなり、負傷の扱いもシンプルそのものに
  • PCをより関与できる形に
    • 最初から主要NPCを公開して、うち幾人かとの関係を作ってもらう


 実際セッションで運用してみた限り、これらの変更点は概ねデザインしなおした方の意図通りに機能していると思われます。特にApocalypse World方式を取り込んだ新キャラクターシートのおかげで、ゲーム開始までは非常にスムーズになりました。
 開始時点からNPCの人間関係にPCを織り込むルールは、数が多い分整合性を取ろうとすると据わりの悪い部分も出てくる印象。PCに有利なダイスをもたらすため、自分が深い関係をもつNPCを事件に積極的に巻き込むことになる、そんな仕組みを考えたルールに思えましたが、今回はプレイヤーたちのの気質が調査型よりだったこともあり、あまり機能せず。
 コンフリクトと悪影響ルールの変更全般は、キャラクターのアクションを幅広いものとする意図と、処理の高速化を考えた作りが、今ひとつ噛み合わなかった感。エスカレートへの障壁が低くなったため、ダイスの振る量が全体的に増えてしまい、時間を食ってしまうためプレイヤーはコンフリクトを避ける傾向を見せました。
 また、事故死を減らすルールは、エスカレートからもたらされる安易な暴力が悲惨な結果を生むという、ルール的な抑止力を弱め、コンフリクト中の決断の重みが失われてしまう気がしました。銃弾を喰らっても死ぬ確率は非常に低いため、プレイヤーには一発ぐらいなら受けてもOKな気分が広まっていました。
 DitVのコンフリクトが持つ、目的とする行為の達成と、自分あるいは相手の命とを天秤かけることから生まれる、緊張感が減退してしまうと僕は思います。時間運用する機会があれば、この辺を調整したいところ。


 PCがもたらす裁きに焦点を絞り、PCを最初から人間関係の織物に編み込むことでそれぞれの拠り所を選ばせるこのルールは、非常に完成度の高いハックです。反面、欠点はあれど元ルールにきらめく宝石を再認することが、プレイ中に何度かありました。時間は食ってしまうものの、コンフリクトの結果に制御の難しい因子を埋め込むことで、事態をPCたち主導で込み入らせて、いやがおうにも没頭を高める仕組みは、荒削りながらも素晴らしいアイデアだなあと。
 なお、セッションはPCが最大多数の最大幸福を選択するエンディング。
 罪人も酷い裁きは受けず、後にした町には希望も残る、そんなさわやかな終わり方でした。ただ、プレイヤーの没入度合いも低くなってしまったのが、GMとしては痛し痒し。

3部

 もう一卓が、SW2.0の15レベルセッション。昼から開始で、キャラクター作成が終わったのは21:30、セッションの終了が朝の7時という、凄まじい長期戦でした。
 それを待ってダベリダベリ。

その後

 定番ゲーム。人数がぴったりだったため、逃げることが許されませんでした。
 一戦目は案の定かなりのクソゲー
 昼の12時を回ってしまった終了後、軽口ついでに煽りを入れたら、2ゲーム目が開始される羽目に陥りました。口火を切ったのは自分なので、これまた逃げられず。
 二戦目はかなりの面白い構成と展開だったのですが、参加者全員の思考力霞がかかり始めた状態では・・・かなり大変でした。
 口は災いの元。