断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

1/14の覚え書き

 昼、夜、深夜、いずれも別方向の楽しみ満載の一日でした。

1部

 1回生Hさんのダブルクロス3rd。
 未覚醒のPC1が、憧れの委員長NPCにより放課後の教室に呼び出され愛の告白を受ける。そこからキスへと至ろうと瞳を閉じたら、脇腹と心臓を切り裂かれて覚醒。というオープニングから始まる愛の行方と、行方不明事件を追うUGN関連のオーヴァードPCが協力する展開のシナリオでした。
 見所は、なんと言ってもPC1の変態性。
 GMはオープニングの事件後、復讐心から彼女を追うという流れになっても構わなかったようですが、PC1が選んだのは愛。UGNの研究者であったうちのPCが、彼女がジャーム化して戻れなくなっている可能性を指摘しても、なお折れることのない情熱でありました。
 事の真相は、FHの誘拐洗脳作戦半ばで逃走したがため、「他者の絶望を目にしたい」という衝動を制御できなくなっている委員長NPC(ジャーム化していない)が彼を殺そうとしたという話でした。これが、PC設定の段階から「中学の頃から彼女に憧れ必死で勉強した同じ高校に入った」とか、「彼女の住所なら空で言えます!」とのストーカー疑惑すれすれ発言を平気でこぼすPC1と化学反応を起こします。
 トドメはミドルフェイズにて彼女を追い詰めた際、UGN保護下に入るよう説得する過程でうちのPCが、PC1の想いを述べ立てた上で「それに、もし衝動が抑えがたいなら、彼(PC1)が相手をしてくれるよ。幸い彼は死んでも蘇る体だし、何よりずたずたに切り裂かれても君のことを愛しているのだから」と説得したことでしょうか?
 説得に応じUGN支部にて洗脳解除の研究に協力することになった彼女は、先の宣言通りPC1を相手に衝動の解消を実践するようになったのです。支部の一室にて二人っきりになり、彼を血の刃で殺害し、復活に至るまでの彼の苦しむ顔に充足を覚えるという形で。
 エンディングでは、長期の洗脳解除治療を要すると判明し、この逢い引き(?)は当面継続されることに。これも一つの愛の形ですね、うん。愛なら仕方ないね!


 とまあ、終始笑いっぱなしのセッションでした。
 シナリオ内容としては、作り込みやデータ調整ともにゆるゆる過ぎたぐらいなのですが、GMが準備したヒロインNPCとPC1プレイヤーの変態性が共鳴を起こし、隙間を埋めてあまりあるセッションとなったのです。
 ああ、いい意味でひどかった。

2部

 OBのH将軍による旧版ソードワールド
 新旧派閥が対立する職人の都。その顔役の一人である父親に、厳しいしつけと教育を施される息子の少年がPC1、彼の憧れる冒険者たちが残りのPCという構成。少年に懐かれた冒険者PCたちは、彼にプレゼントしようと、有り金をはたいて剣を注文。ところがこれが思いもよらぬ災難の種になり・・・。という展開。
 PC1の立場と冒険者に憧れている、冒険者PCたちは彼に剣を贈ろうとしている、という設定以外は完全にプレイヤー任せ。ここで兄貴分の戦士を中心に、彼の意地っ張りを愛し結束している一団という設定ができあがります。
 密に相談することもなく、各プレイヤーがそれぞれの思惑と嗜好で組み上げたPCの性格でしたが、セッションが始まると、これが図ったようにぴったり噛み合いました。各人も個性もいい塩梅に発揮できるばらけ方だったのです。
 不思議なことにこのハーモニーはセッション全般を通して続きました。
 GMの思惑も、キャラクターの行動も、プレイヤーの演出も、台詞回しも、全てが渾然一体となりながら自然な流れを形成していったのです。戦闘シーンの推移さえも。少なくとも僕の目からはそう見えました。
 前半はプレイヤー演出主導による、ドタバタ行き違い劇が進展。基調はあくまでコミカルでありながら、ストーリーや終盤の展開はぐっとくるものがあり、最後はみなが納得するハッピーエンドへ。
 かけ出し冒険者(作成は初期+500経験点)たちは、騒動の過程でその未熟さを嘲笑われ、思い知らされ、行き違いや失敗を重ねながらも、少年PCにとっては憧れの冒険者たちであろうという意地を押し通した結果、最後でささやかながらも本物の英雄となることができるという物語が、最終的には組み上がりました。
 キャラ作成時の冗談トークから持たせることにしたギャロットが、土壇場で役に立つという出来事も含め、まるで図ったかのようにパーツがぴしりぴしりとはまっていったのです。


 こういうセッションは、GM一人が狙ってできるものでは無いし、プレイヤー側からの働きかけで造形できるものでもありません。準備、セッションの雰囲気、即興的なプレイヤーの感情、積み上げられる場のフィクション、そういった諸要素が絡み合い調和の取れた美しい織物が編まれてゆく、そんな感覚でした。
 こういった素晴らしいセッションの花火を体験するために、僕は長々とTRPGという遊びにしがみついているのかもしれない、そんな気持ちにすらなりました。
 GMならびに参加者各位にはただ感謝あるのみ。

3部

 久々のウルズッペ。
 作戦がどんぴしゃで、カード運もあり勝利。
 テンタクル&ホールドのミューテーションをこよなく愛する僕でありました。