断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

Savage Worldsを見直し中

 このblogを見ていただければ一目瞭然ですが、僕の海外RPGへの興味は偏ってます。
 プレイヤー側からアイデアを引き出す仕組みの備わった即興性の高いものに耽溺する傾向が顕著と言えましょう。
 そのため新しいルールを持っていくと「たまには普通のシステム持ってきましょうよ」と突っ込まれるのが様式美になっているぐらいです。


 そんなときはいつも自分を茶化して返事を返します。
 顔は笑っているのですが、内心は常に平穏というわけではありません。
 新規ルールのためにルールを読んで、サマリーを作成することには、それなりの労力をつぎ込んでいます。英語が苦手な自分にとっては、片手間で準備できるものではないのです。
 できれば、自分以外の人にもGMしてもらいたい(そしてより多くの人に遊んでもらいたい)という思いは、心の深海に沈殿しております。押しつけがましいのは嫌いだから、口には出さないけど。


 むろん、そこそこの頻度で新規システムを投入できるのは、自らの偏向した嗜好の追求という高いモチベーションあってこそなわけで、フォロワーが生まれないのは自業自得です。分かっているのです。けれど理解してもなお、残念な気持ちはどこかに蓄積していきます。
 で、近頃はその感情が許容限度を超えつつあるのです。
 なので一度、伝統的なRPGに属し、かつ潰しのきくシステムを持っていこうと考えるに至りました。
 そこで白羽の矢が立ったのが、Savage Worldsです。


Savage Worlds Deluxe


 Savage Worldsは2003年から版を重ねる汎用RPGシステムで、かのウィアード西部劇RPG、Deadlandsのデザイナーが中心となって作成されております。現在では、非常に多くの背景設定並びにサプリメントが出版されています。
 キャラクターのデータは5つの能力値、能力値に結びついた技能、それらから算出される福次能力、強みと弱み、所持品からなります。こういうとGURPSを連想してしまうかもしれませんが、技能の数と用途は限られ、強みと弱みも取れる数が限られているため、かなりシンプルにまとまっています。
 割り振り式のキャラクター作成はさして時間のかかるものではありませんし、急ぎの場合は8割方できあがったアーキタイプが16種類用意されています。
 弱みも、PCにペナルティを与える要素より、ロールプレイのための個性づけの方にウェイトが置かれており、割り振り型のキャラクター作成をもつRPGに起こりがちな、効率のいい弱点の取り方からの脱却が図られています。


 使用するランダマイザーは、D4、D6、D8、D10、D12、D20、とトランプ一式。
 基本ルールは状況に即した能力あるいは技能に割り振られたダイスを振り、環境からの修正を加えた値が4以上なら成功というもの。PCや重要NPCはワイルド・カードと呼ばれ、一般的な判定には使用能力/技能と同時に1D6を振り、高い方の出目を採用します。
 特徴的なのは、このロールの際ダイスの最大出目が出たら、そのダイスを振り足し、新たな出目を加算するという方式。最大目が出続ける限り振り足せるため、射幸心を大いに高めてくれます。目標値を4上回るごとに、成功度合いが良くなるため余計に。
 ダメージは武器によって決められたダイスを振り、修正値ともども全て加算する方式。なのですが、この時も最大出目の振り足しは発生します。必然的に戦闘はいつ必殺の一撃が飛び出すかわからないスリリングなものとなります。
 ワイルドカードは、リロールやダメージ減少を行えるポイントを所持しており、安全ネットも完備。アクション味が強く、ヒロイックで派手な冒険活劇に向くルールと思われます。


 戦闘ルールは堅実ながらも、行動オプションが豊富。
 強みを生かした特殊攻撃も含め、多くのシチュエーションを取り扱えるものとなっております。
 行動順はトランプを配って、その数字順という方式。毎ラウンド変動します。もしジョーカーを引いたなら、そのラウンドの行動とダメージに+2修正が入るといった博打要素が盛り込まれています。
 戦闘にはミニチュアとスクエア・シートの使用が奨励(必須ではない)されており、意外にタクティカルな代物です。戦闘部分だけを抜き出したミニチュア・ゲーム(Savage Worlds Showdown)も無料配布されていたり。


 Savage Worldsは業界大手とまではいかなくても、そこそこに支持を集めているRPGです。インディ系界隈でも、AGONとChronica Feudalisのダイスロール方法がSavage Worldsの影響をもろに受けていたりします。
 上にリンクを張ったSavage Worlds Deluxeは、今年出た最新版であり、目を引くような大規模変革こそないものの、若干のルール追加と調整、データの拡張及び整理が行われています。なによりもリーダビリティが大幅向上しているのがありがたいところ。


 さて、先に述べた通り、Savage worldsは汎用システムです。
 数ある世界から好みのものを選んで遊ぶことができます。
 さて、実際に投入すると仮定した際、一番迷うのがこの選定。背景世界は魅力的で数あるものの、ここには自分の趣味を反映させたいところ。そこでざっと見た感じで候補になったのはこの3つ。


The Day After Ragnarok
 第二次大戦中に、北欧神話のラグナロクが発生したという、トンデモ設定。ヨルムンガンドを原爆でぶっ殺した後の、ポスト・アポカリプスwithウィアード科学な世界です。巨人たちや魔法も蘇ったり、大蛇の毒で北米は汚染&ミュータントがうろつく地帯となったり、ヨルムンガンドの死体がヨーロッパを二分する(鉄のカーテンならぬ)大蛇のカーテンになっていたり、とにかく全てがぶっとんでます。サイコー。


Beasts & Barbarians Golden Edition
 蛮人コナンやファファード&グレイマウザーなどに代表される、パルプ・ファンタジーを遊ぶコンセプト。デフォルトでPCに多めの経験点が渡されており、爽快に大暴れできそうです。薄着の蛮人やビキニねーちゃんが頑丈という世界法則を、ルールで裏付けする強みが追加されているのが笑えます。公式サイトを見に行くと、どうやらポーランドのパブリッシャーみたいですね。


MARS: Savage Worlds Edition
 バロウズの火星シリーズなどを再現する、ロマンス溢れる火星を舞台にしたパルプ冒険もの。心躍ります。


 ・・・あー、えーっとですね、少し言い訳をさせてください。
 これは別に僕が特に選んだからこんなラインナップになったわけじゃなくて、Savage Worldsは(DeadlandsとかSpace:1889とか)あくの強い世界観が揃っており、その中からサークルで受け入れられそうなものを、ということを念頭においた結果です。
 僕の趣味を反映させたわけでは、決して、決して、ないのであります。・・・たぶん。
 目的を見失ってる、と師匠からツッコミを受けましたが、そ、そんなことはないですよ。ハハハ・・・。


 ともあれ、もし投入するとしても、まずは手応えを見るために、キャラクター作成済みのシナリオと必要データのみを訳して持っていくつもりです。