断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

Eclipse Phaseのプレイレポ

 先週土曜に、クイックスタートを用いたEclipse Phaseのセッションが行われ、プレイヤーとして参加する機会に恵まれました。
 以下、そのレポートとなります。もろにネタバレなので、クイックスタートをプレイヤーとして遊ぶ予定の方は見ないようにしてください。

【ネタバレ注意】


GMは久々に顔を出す機会を作られたぴろきさん(id:piroki)。
開始前、「今回はナラティブでがんがんいきますよ」と公言されてました。
ルールサマリーとキャラクターデータは、Janusさんのページで公開されているもの( http://janus_.web.fc2.com/EP_Translated.html )を利用されたようです。多謝。


PCの名前とコンセプトは決定済みで、次の通りでした。

 ギャヴィン・グッドウィル(詐欺師)
 ゾラ・ミュラー(無政府主義者の破壊工作員)
 エリス・メネゼス(スカムの技術屋)
 アミール・セクティウィ(僻地民のセキュリティ専門家)

自分はエリスを担当。戦闘能力皆無のテックタイプであります。


セッション内容は次の通り:
『巨大な植民船を漂白し続ける都市に改造した船、歓喜の変成号に身を置くPCたちが、各々の日常を送るシーンから開始。
 ゾラはスカムの露店でめぼしい武器を漁り、エリスは自分に店に客引きしようとそこに声をかけるが武器は専門外、アミールは知性化されたタコの護衛として取引のためバーへ、そこでカモを物色するギャヴィンは「いつもと違い大物が幾人か顔を出している」ことに気がつく。木星共和国のエージェントらしき女性まで姿を見せ、大きな商談が予想される。
 そこに飛び込むファイアウォールからの調査依頼。遠回しなテキストだが、当地にて危険物が取引される様子なので確保を、と読み取れる。
 ついでにPCはお互いの位置、及び経歴を一瞬で把握。恐るべしAR社会。
 しばしの調査や出会いの末、タイタン出身の仲買人タイ・フォンがヤバイ物を売りさばこうとしていると判明。アミールの雇い主であるタコの元にも彼女は現れたが、その際剣呑な黒服が二人、彼女をつける姿が目撃される。直後に消息を絶つ。
 PCたちは捜索を行い、自らの船で銃で足を撃ち抜かれ倒れていたタイ・フォンを救出。仲介する商品について犯罪組織ナイトカルテルの脅しを受けたとのこと。彼女に一時的な避難場所を提供したPCたちは、礼として彼女の雇い主であるグレイ・シューと繋ぎを取ることに成功。ギャヴィンを新たな仲買人とするよう持ちかける。
 グレイ・シューの船での顔合わせが決まり、小型シャトルで向かうPCたち。ナメクジ型モーフの護衛は武器を差し出すよう要求するが、レプと口先を用いて携帯を認めさせる。


 船倉で待っていたシューは足先が手になったモーフの中国系。顔は京劇風に白塗り。新たな仲買人として商品の詳細を確認したところ、先の大戦時にティターンズによってばらまかれたナノマシン兵器だと判明する。入り込んだ先を分子レベルで再構成して、自己増殖を繰り返す危険極まりないブツだったのだ。
 そのとき船内に鳴り響く警報。兵器を奪取しようと、ナイトカルテルの送り込んだ兵隊ですし詰めになったシャトルが、シューの船にボーディングを開始したのである。
 ゴリラ型モーフの用心棒が応戦する中、PCたちは怯えるシューの不安をさらに煽り、エアロックからの脱出を提案。何とか宇宙服を着込んで、銃火に晒され負傷しつつも、シューとナノマシンの入った容器を伴い宇宙空間に飛び出る。
 待機していたファイアウォール仲間の船に回収されたPCたちは、ねぎらいの言葉とともに火星での待機を命じられる。無事任務を達成した彼らは、精神転送で火星のエリシウム・シティでしばしの休暇を楽しむのだった。


 エリシウムは贅沢と最新のファッションに彩られた享楽の都。一ヶ月の休暇中に、アミールが武器を新調したいと提案し、紆余曲折(リストの確認)あって、何故かPCが全員振動グレネードを購入するにいたる。
 そして休みの終わりを告げるファイアウォールからの連絡。シューに対する尋問の結果、彼女が火星の破棄されたハビタットM6にて先のナノマシンを発見したことが明らかになったとのこと。シューは関連する記憶を消されてから解放の見込み。
 M6は先の大戦でAIからの攻撃を受け徹底的に破壊された地。今でも周辺にはAIの僕たるロボットが獲物を求めうろついているらしい。PCたちは開拓用のモーフにそれぞれ乗り換える。アミールに至っては蜘蛛型のロボット・モーフに入ることになった。そしてバギー2台に分乗して、地上から約一日をかけてM6を目指す。
 途中、幾種類かの殺人ロボットの影(GMが描写後「こういう、マンショニャッガーみたいな・・・」と口走るのを聞かなかった振りをしながら)を見かけるが辛くも回避。相談の結果、視野の問題から一晩休んで、翌日の明るいうちのM6入りが決定される。夜間に身を隠すための場所を確保していると、PCたち同じ開拓用モーフの流民の群れと遭遇する。
 ハビタットを失い火星の地表を彷徨う彼らによれば、少し前M6方向に数名の黒服男が向かうのを目にしたという。当初は双方警戒し合っていたが、PCたちがナノ合成機を用いてワインを生成し、酒盛りで肩を組み合う仲に。PCたちは、別れ際に信頼できそうな流民を数名、ファイアウォールにスカウトして地表の監視を頼むのだった。


 M6は天井部分の崩れたドーム都市。4箇所ほど壁が崩壊しており、そこから潜入できる模様。遠方からの観察で、労働用のボットが内部で活動していることが確認される。
 ゾラが忍び込んでボットが動いている周辺を探ると、廃墟の建物にて作業にいそしむ4人の黒服の男を発見。戦闘能力のあるゾラとアミールで強襲をかける運びとなる。
 まずはゾラが建物に振動グレネードを仕掛け、低くなっている壁を飛び越えたアミール(in蜘蛛型ロボ)が高速で接近。音に気付いた4人がそちらに動いたところを、アミールのプラズマライフルとゾラのレーザーガンピストルが打ち抜く。
 2ラウンドが終わるまでに、黒服は一人気絶、二人転倒、一人は建物の地下に遁走という惨憺たる有様に。すかさず降伏勧告を行うPCたち。地下室に逃げた一人も「出てこないとグレネードを投げ込む」と脅されて投降する。
 彼ら(シューに雇われたと判明)がナノマシンに感染(?)していることを恐れたPCは早速、携帯医療検査装置で全員をチェック。一人の体温が42度であることが発覚する。みんなから離れるように指示を出した直後、その黒服の全身が変容を開始。みるみるうちに半ば機械の怪物へと姿を変える。
 そこへ衛星軌道上からの状況監視を行っていたファイアウォール・メンバーからの通信。現状を映像付き伝えたところ、「ナノマシンの増殖を防ぐ手立ては無い。跡形無く焼き払うために核の使用が決定された。あと5分で投下される。」との返答。
 ギャヴィンとエリスは黒服の生き残り3名をバギーに乗せ、できる限りM6から距離を取ろうとする。ナノ合成機で耐熱幌を生成するなど、僅かな生存の可能性にかけて。
 一方、アミールとゾラはギリギリまでM6に残って核投下を避ける道を探ることになった。機械の体のアミールがナノマシンの怪物と戦って時間を稼ぐ間に、ゾラは先の地下貯蔵庫に走る。
 実は、黒服たちが地下で発見した数々の超技術品(ティターンズの遺留物)はリストとしてPCたちに提供されており、その中に反物質爆弾を見いだしたのだ。内包されている反物質の量が少ないため、起爆すればM6を消し去るぐらいの被害に抑えられるだろうとのこと。
 アミールはプラズマライフルで化け物の体を焼くが、すぐに再生。逆に怪物のアーチ状に伸びた腕に機体を貫かれてしまう。反物質爆弾を地上に持ち帰ったゾラが目にしたのは、損傷部からみるみるナノマシンに侵食されていく彼の姿。この体はもはや助かる術無しと悟ったアミールは、皮質スタックをゾラに託し、反物質爆弾を受け取る。
 それから間もなく、M6を離れたゾラの背後でハビタットの廃墟は跡形も無く消滅した。最小限の犠牲で危機と核の投下は回避され、危険極まりないティターンズの遺産は葬り去られたのである。


 PCたちは任務を完遂し、それぞれの日常へと戻っていく。
 ギャヴィンは社交の世界での狩りへ。
 ゾラはエリシウムの腐敗ぶりを仲間に説きながら、新たなハイパーコーポの破壊工作へ。
 エリスは最も気楽なスカム文化に耽溺すべく歓喜の変成号へ。
 アミールはボディガード家業へ。
 けれども、アミールはエリシウムを離れる直前の記憶しか持たなかった。結局、皮質スタックも侵食を受けており、破棄せざる得なかったためだ。
 みんなが彼の行いを気高い英雄のものだと褒め称えたが、当人は決して実感を抱くことができないまま、肩をすくめるのであった。』


以下、雑感を少々。

  • GM曰く「ファイアウォールは内輪のSNSのような組織構造」だそうで、かなりフランクな演出でした。かつ「全人類の95%が死滅し、残るは僅か5億。肉体を持つものとなると更に数少ない。ほんの10年前にこの破壊が起きた」ことを強調されたので、人類の絶滅リスクを低減させるというファイアウォールの目的をPCたちも共有できた部分が大きいと思います。
  • クイックスタートのシナリオ部分をご覧になった方はおわかりでしょうが、一部内容がかなりドラスティックに変化しています。僕は終了後に一読してひっくり返りました。プレイヤーの希望や予想を汲み取りつつ、アドリブで変化をつけていかれたとのこと。非常に楽しい時間が過ごせました。感謝です。
  • シナリオが組み変わった大きな要因は、実のところプレイヤーの持つ(過去のセッションで魂に刻み込まれた)トラウマだったそうです。シューの宇宙船見取り図を目にしたとたん「エアロックが4つもある。ヤバイ、投棄される。GM、船の倉庫内に非常用宇宙服はありませんか?」と勝手に怯えはじめたり。あるいは、M6で黒服を取り押さえた直後、「こいつらナノマシンに感染していたりしませんかね? いや、絶対そうだ危険だ。GM、手元に健康状態を調査する機器とかありません?」と恐慌状態に陥ったり。後者のプレイヤーどもが勝手に慌てふためく様子を見て、元の展開が今ひとつしっくり来なかったGM氏の頭に、ナノマシンの怪物から核投下までの見取り図が閃いたそうです。
  • ナノ合成機は(スタートレックの)レプリケーターのイメージでした。流民と語らうシーンで「この合成機ってレプリケーターかな。だとしたらアールグレイ、じゃなかった、ワインとか合成できるんじゃ?」という思いつきにより酒盛りに突入。もちろん携帯医療検査装置はトリコーダーを頭に思い描きました。若いプレイヤー2人を置いてけぼりにしたと、あとで反省した次第です。
  • シューの船にPCみんなで向かうシーンですが、最初は2人だけで会合する予定でした。プレイヤーはなんとなく、他勢力との取引が行われている隙に奪うか、(誰かを巻き込むことで)正式な商談を成立させて買い取るつもりだったので。2部構成のシナリオと読めなかったので、それに合わせた時間配分を考えていたのです。が、ここでGMがひと言「アラート! アラート! みなさん、一緒に行った方がいいですよ」とぶっちゃけモード。幸い特に興が削がれることなく、進行したのでありました。