断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

2/19の覚え書き

 メールで流れていた集合時間変更に気づか無かったばかりでなく、「あ、変更になったらしいっすよ(もぐもぐ)」「え・・・卓紹介部分しか見てませんよでした(ぱくぱく)」と、余裕綽々でお昼を食べていたのは内緒。
 関係者の皆々様方、申し訳ありませんでした。
 少し前、再利用の可能性があるシナリオを一部ネタバレしてしまったので、今週から本編の主要部分関する言及はなるだけ控える方向で書きます。

1部

 1回生SさんGMによる戦国霊異伝
 時は1560年前後。薩摩国は島津家の居城より、徒歩一日の距離に山城を構える国人八坂九兵衛。その封土に変化妖怪に類する狼の群れが棲み着いたと聞き及んだ、島津貴久は武芸や妖異を払う術に通じたPCたちを、娘婿である九兵衛の元へと派遣する。しかし、真の目的は八坂の家が叛乱を目論むとという不穏な噂の実地調査であった。九兵衛に嫁いだ姫君と幼き日々を共に過ごしたPC1にとって、複雑な思いの交錯する出立から物語は始まる・・・。
 実質的にPC1にNPCとの絆設定あり、他は分限以外は縛りのほぼ無いセッティングでありました。


 そして何故か僕がPC1の若き武芸者。
 姫君にはその実ベタぼれであり、今回の任を九兵衛追い落としのいい機会だと考えているという設定で作成しました。初期情報から「九兵衛と姫君の間には深い絆がある」「怪異が一枚噛む形でやむを得ず叛乱に荷担」->「PCたちが絡んだ結び目を解きほぐす展開」を予想し、最も劇的でマゾヒスティックな流れを作り出せる立ち位置だと踏んだからです。
 予想の半分は正解だったのですが、残りの部分があまりに鮮明なあっさり味でPCたちの元に供されたため、なし崩し的にずんばらりんして終了する結果となりました。GMの予想を少し裏切り、セッションに軽い揺らぎを与える方針で行動したわけですけれど、並べてみれば理に適った行動ばかりだったと思います。
 いっそのこと姫への想いに狂っても良かったのですが、最序盤で腹黒い面を見せたことがあだとなり、いきなりジャンプには踏み出せず。結末だけ見たら、面白みを削いだかもしれないと反省することしきりです。
 再利用で前回指摘された点の改善を行ったはずが、プレイヤーの行動により狙ったシーンが悉く外れてしまうことになったそうで、積極的に動くPCも善し悪しかなと思ったり。感想戦で指摘されていた通り、もっとシーンを切って時間を話進めても文句は出ないと考える次第です。


 シナリオはまとまっていたし、配置も明確でわかりやすかったのはよろしゅうございました。
 あえて苦言を呈するなら、NPC同士の感情的繋がりの遙か外野にPCたちが陣取るセッティングであったため、決断や助言をする動機が薄すぎた部分に改善の余地が大きいかと。自分もよく勘違いしていたため大きな口はたたけませんが、GMの脳内で展開するエモーショナルな物語は、PCたちを中心に巻き込めなければ実際のセッションではGM自演のNPC芝居に堕してしまいます。流れを制御しつつ感情をつついていく方法論は、ここ数年のハンドアウト付き市販(付属)シナリオが参考になると思いますので、使えそうなパーツを取捨選択して活用されるのがよろしいかと。

2部

 2回生HさんGMによるベーシック・ロールプレイ。
 非クトゥルフな現代ホラーものとの触れ込みでした。
 「自分を明日に送り届けて欲しい」という謎の依頼を受けるPCたち現代の何でも屋グループ。依頼人が怪異に悩まされるPC1でハイド情報持ちというセッティング。彼らはロサンゼルスから、高速船で日付変更線を目指すが、タイムリミットと邪なる気配は徐々に迫りつつあった・・・。
 そんな、比較的リリカルな話。


 が、PC2以降が属しているプロフェッショナル・グループの詳細についてGMに尋ねたところ「一回あたりの収入が数千万から数百億円規模の依頼をこなす知る人ぞ知る集団。以前に霊的な事件にあたったこともあります」との回答。
 後半部分に主眼を置いて欲しかったみたいなのですが、プレイヤーたちの目は報酬の規模に釘付け。「これは・・・Aチームしかないよね!」なノリで、嬉々として作成していきます。EDUが3D6+6&技能の限界は90%と、PC制限が緩かったこともこの流れを加速します。
 そしてできあがったのは、リーダー:元海軍司令官の通称“ネルソン”(本名アダム・スミス)、ドクター“ヒポクラテス”、紅一点の交渉担当“クイーン”(本名エリザベス・マーキュリー)、元テロリスト“サラディン”の4名。対イラク戦争でフセインの隠し財宝を巡る騒動に巻き込まれ、助け合うことで絆を芽生えさせた猛者たち。CIA長官に目をつけられ地下に潜ったが、こんなところで燻っている俺たちじゃねえ。などという空気が醸成されるまで、さしたる時間はかかりませんでした。
 僕らが大笑いしながらキャラ作成している横で、立場上蚊帳の外となったお疲れ気味PC1のプレイヤーと、そんなPCたちを望んではいなかったGMの思惑に、気づくべくも無く・・・。


 アクション俳優が集まって荒くれチームを結成したが、出演したのは叙情的なホラー映画であった。そんな顛末が、ある意味予想通りですが、待っておりました。PCたちの技能が基本的に何一つ役に立たなかったあたり、GMの話は注意深く聞きましょう、という初心者向け教訓を想起した次第。
 GMの想定したチーム像と完全にずれていたかというと、設定済みプロットと合致する(小国で宗教独裁をひいていた連中を追い出したGM設定済みの過去あり)部分もありまして。終了後の説明を聞いても、GMの頭の中にどういったプロ集団が存在したのか曖昧なままでした。既存作品から例示していただけると嬉しかったと考える次第です。
 細かくつっこむなら、GMは「自らの志向する物語性」と「PCたちによる転変への期待」を、ともに強く抱いていたものと推測されます。ところが、シナリオの集約点に位置するシーンは、存在しなければ物語が成り立たない重要な場面であるにもかかわらず、PCたちの創意工夫を意欲的に取り込めば、到達しない可能性もあるという構成。おそらくGMは基本的な筋書きを優先したと思われ、PCたちの努力の多くが無為に終わった感触がありました。GMの想定を越えるアクションを宣言できなかった(もっというならアクションものの技能ばかり選択していた)というプレイヤー側の落ち度はあるにせよ、再考の余地は十分にある構成でした。
 PC1の扱いがちょっと可哀想で、他PCの持つ仲間意識からは取り残され、GMからは手持ち情報を小出しにするよう(曖昧に)指示され、挙げ句の果てにNPC呼ばわりされる始末。立ち位置は最高に面白いのに、プレイヤーが困惑しておられました。ここも改善の隙間ありかと。
 山海の珍味が揃った素晴らしい素材を準備しているのに、RPGとして調理する部分でうまみを十分に引き出せてない現状が非常にもったいないと考え、あえて苦言を呈した次第です。

3部

 ル・アーブルをプレイ。
 アグリコラと同じデザイナー氏による収穫三部作の2作目。アグリコラと似た要素あり、洗練されたポイントあり、見通しのいい設計と意外性をもたらすランダム・カードありで、かなり楽しめました。
 今回遊んだのは4人。
 立ち上がりで大失敗をやらかしたため、借用書を溜めては船を購入し簡易裁判所で破棄するスタイルを送った結果、建物が溜まらず最下位に終わりました。トップは初期に売却価値の高い建物を購入して、売却->有用な建物の即購入をうまく回したプレイヤー。ただし、3位までは大差付かない接戦。
 懲りずにまた遊びたい面白さでした。


 残りの一卓が、朝の8時でまだ道半ばと聞き、驚愕しながら帰還。彼らの中には日曜正午から予定されていたセッションへの参加者もおられたりしまして、若さの持つ偉大さを再認識いたしました。がんばれー。