断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

1/15の覚え書き

 大雪迫るとの予報に心底怯えながら参加。
 久方ぶりに師匠、Gさん、大Kさんと遊べ、懐旧の念をかき立てられました。

1部

 師匠のクトゥルフで、シナリオは内山靖二郎氏が公開されている『延命病院』。
 ダウンロード・シナリオなので詳細はカットいたします。


 PC4人のうち3人は、武田の大学時代からの友人という設定。
 マーシャルアーツ持ちは二人と無駄に戦意が高く、残りは医者、エンターテナーという名のスニーキング技能持ちと、最初から探索者志向が強め。
 シナリオによると最初の二日ほどは、伏線を張りつつ休暇を楽しんでもらう期間のはずですが、初日から怪異にアンテナを立てつつ地域を回るPCたち。行く先々でさりげなく宿泊地や武田の名前を出しつつ、既に情報収集モードに入ってしまいました。
 その結果、本格的に事件が動き出すイベントの前に重要な証拠物件を発見してしまい、二日目夕方には最終局面に突入。その日のうちに事件は終結を迎えたのでありました。速えーよ。


 とはいえ、キーパーのアドリブ回しの巧みさにより、スキップされたイベントは1つのみ。時間もたっぷり4時間遊びました。
 シナリオにはない、かなりホラーかつコミカルなシーンが演出され、プレイヤーは大喜び。
 12月のsonomatiさんに続き、充実したクトゥルフ分を補給させていただきました。感謝。
 途中たたみ掛けるような展開となったため、情感の損なわれた感も多少ありますが、それはプレイヤーのプロ探索者根性と強欲ゆえ。キーパーにはひたすら申し訳なかったと思う次第です。


 師匠もおっしゃってましたが、うちのサークルはキャラ設定を比較的作り込むこともあって、材料の少ない状況においてPC間のみで絡み、キャラクター性の確立の機会などをさほど求めない傾向にあるのでしょう。PCは休暇に来たはずなのに、あっという間にがっついた探索者化してしまいました。
 あとは、GMによってプレイヤーの警戒度が上下することも一因。ちなみに、師匠のGMにおける、僕の通常警戒度は120%であります。若い頃に植え付けられたトラウマは常に毛を逆立ててしまうのです。
 ・・・優しさが足りなくてごめんなさい。

2部

 自分がMCでApocalypse World。
 実は週初めに同回のGさんにメールして、今週参加されるなら準備しようと手ぐすね引いていたのですが、返答無し。お忙しいのだろうと、結局作成は放棄。
 ・・・したら、1部途中でひょっこり顔をだされました。ちゃんと返信してくださいよ!
 そんなわけでシナリオ準備もないので、去年の合宿で用いたシナリオの再利用。
 そのままは面白くないので、PCの立ち位置やセッティングを即興でアレンジして遊ぶことになりました。


 去年からちょくちょく使っている、終末火星コロニー設定を使用。テラフォーミングが終わり入植が進んだ近未来の火星にて、突然地球との通信が一切途絶。環境改善に用いたバイオテクノロジーの産物の暴走やら、内乱、水資源の稀少化に伴い、荒廃し果てた50年後の火星アポカリプスであります。
 今回は、ギロチンを用い恐怖政治を引く宗教統治コロニー、姿を隠した聖者の後継者を見つけたと主張する同宗教の巡礼者たち、コロニー奪還を目指すかつての管理官の子孫、そのあたりが三つ巴。その中に置かれたPCたちはどのように行動し、どのような結末をもたらすのか? そんな内容でした。


 前回のPC配置は、流れの便利屋一行。
 今回は、面子がOB揃いだったこともあり、MCが用意した設定の好きな隙間にPCを置いてもらうこととしました。結果、PCは次のような面々に。

ハードホルダー ギロチン宗教の圧政を受ける地区の支配者。
ブレイナー 放浪テレパス。性別不詳で人間性に欠損が見られる。
スキナー 聖歌の歌い手にして娼婦。自由ラジオとの繋がりも持つ。
バトルベイブ 聖者として連れてこられた少女の幼馴染みである少年。

 バトルベイブがPC1ポジションに座っているように見えますが、全てプレイヤー提案によるものです。Apocalypse Worldは、というより僕のシナリオは、基本的に群像劇なので、意識的に主役を配することはほとんどございません。


 Apocalypse World経験者が一人ということもあり、初っ端は手探りのPCムーヴ合戦。その中で、ハードホルダーの大Kさんと、バトルベイブのGさんが苛烈に対立。出会いから、Go Aggroを用い銃口を向けての脅迫->10+が出るも従いたくないので発砲させる、という激しさでした。
 一時はわかり合い、理知的な大人のハードホルダーを師として仰ぎ見る少年バトルベイブ。しかし、最終局面で幼馴染みの処遇を巡って、再度対立。バトルベイブは、理よりも、情よりも、自らのこだわりを選び、それを喝破されても従わず。
 ・・・まるでプレイヤー同士の交流史をプレイバックするかのごとくでありました。なにやってんすか!
 しかし、相手に猿ぐつわをかまし手足を縛り付けた後、すなわち最後の一線を越えてまで、なお相手に土下座せん勢いで生き延びてくれるよう懇願するハードホルダー。尽きることのない泉のような慈愛には、MCとしても感銘を受けたことを告白せねばなりますまい。大Kさんを少し誤解していたのかもしれない、と省みるほどに。
 ま、WHの混沌神ナーグルも大いなる慈父らしいけどね!


 結末は、ハードホルダーPCが現実路線を貫き通し、聖者の後継とされた少女を薬漬けにして、新たな水の探し手に祭り上げる苦めの展開に。ギロチン宗教は健在。コロニー維持のため、人々のために、最も流れる血が少ない道であったのかもしれません。非道ではあったけど。シナリオ的にも、ポスト・アポカリプスという世界観的にも、何らかの喪失を踏み越えねば先に進めないのが道理とはいえ。


 MC感想としては、プレイヤーが全員OBだったこともあり、PC同士のせめぎ合いで放置しておいても盛り上がっていただき、ずるした気分でありました。特にハードホルダーの大Kさんが、キャラクターを熱演しつつもストーリーとしての落としどころを探られたおかげで、助かった部分が大きいでしょう。
 システム評価は、比較的高め、だったかな? 暴力や他キャラクターを操り動かす方向性が加速していくルールは楽しんでいただけたようです。
 PC間の対立、経験チェックに釣られての暴走は、どこかで折れないと破滅へ真っ逆さまなシステム、との印象はいつも通り。Apocalypse Worldは本来キャンペーン仕様であり、NPCや他のPCのと関係性から生じる、「守るべきもの」や「強固な目的」が各PCに根付いていること前提です。単発だとありがち無頼スタイルだと、歯止めが利きにくいのが原因の一つでしょう。
 公式にもあるように、単発だとMCのラブレター(ランダムと選択制のある人間関係付きハンドアウト)を導入するのが無難でしょう。


 セッションは4時間半。少し長めでしたが、お疲れ様でありました。

その後

 隣のSW卓(自分が参加したことのあるシナリオが行われていた)で、大事故発生との報に、ことの顛末を聞いてから帰りました。
 雪がアイスバーン化する前に、逃げるように帰宅。間に合った。