断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

12/4の覚え書き

 キャンペーン最終回でありました。
 夜間の冷え込みが厳しく、そのためか帰宅後腹痛に襲われたり。
 みなさまも、この時期の健康管理にはご注意を。

1部

 2回生Nさんのベルファール魔法学園キャンペーン、最終回。
 これまでの世界設定や伏線が回収するためには、あと一話という時間はあまりに少なかった・・・。
 と言うわけで、剣道部復活編&マジカル・サッカー部功名編と異世界からの訪問者編という、とりあえず話を畳む内容が中心となりました。
 前半部分が盛り上がった反面、異世界云々は蛇足感が強くなったなどありましたが、そこそこまとまった印象で終わりました。GMがイベントをきっちり準備できていたので、新人さんが絡んでいきやすかったのも良い点。


 とはいえキャンペーン全体としての評価は、辛口にならざる得ませんでした。
 プレイヤー任せのGMスタイルが、悪い方向に作用したとでも言えばよいのでしょうか?
 まず、自分でシーンを作っていけるプレイヤーはともかく、食いっぱぐれた一回生の二人が取り残される展開が少し目につきました。
 混沌とした世界を遊泳できる手慣れたプレイヤーであっても、GMの打ち出す方向性が読めないため、毎回迷走する傾向にあったのも厳しいところでした。
 それなりの量が準備されていたNPCリストや設定が、あまり活用されなかったのも残念。


 とはいえ、Nさんにしか構築できないだろう奇妙奇天烈な世界は、魅力ではありました。
 意外な形でのネタ拾いはしていただきましたし、調理の仕方をほんの少し、プレイヤー(特に慣れていない方)に寄り添わせることができれば、より多くの人に楽しんでもらえるのではないかと思います。
 有り体に言って惜しい、のです。
 ともあれ全5回のGM、おつかれさまでした。今回の経験が次回以降に生きることを願ってやみません。

2部

 OBであるsomamitiさんによるクトゥルフの呼び声
 ご本人の研修先をネタにされた、正統派クトゥルフ・シナリオでありました。
 その地方のオカルト系観光スポット写真や、登場した神社のwikipedia内容のプリントアウトだけでも、いかにも神話的恐怖が棲み着いてそうに見えてしまった時点で、既にセッションとしては成功していたのではないでしょうか。
 「GM、この角が二本生えた髑髏の写真は何ですか?」「あ、気にしないで。今回のシナリオには全く関係がありません。」気にならないでか! とプレイヤーは全員、心中でツッコミを入れていたことでありましょう。


 GMも面子も安定感が高く、安心して初っ端のキャラクター作成から遊ぶ始末。
 somamitiさんがキャラクター・シートをコピーしている間、PC4人の設定と担当プレイヤーを決めるべく話し合っておりましたが、この時点でGMから指定された設定をねじ曲げに走り出します。
 「このPCは、命を賭けてでも行方知れずのNPCを助けに行こうとしているわけですよね。そこまで入れ込むにはよっぽどの動機がないと。」「恋愛関係が妥当かなあ。ほら、対象NPCは男女両方の名前があるし。」「そこをひねって、男同士だが実は同性愛とかどーだろうか。」「女性同士もありだな」
 「うちら(PC3、4)は、白血病を患った子供の家族という設定ですが、怪しげな健康食品にハマっている母親をPCにしていいの?」「さすがにそれは、NPCすぎるので・・・」「それなら俺は子供の兄で。」「んじゃうちはその旦那で。一般的な夫婦もなんだし、子供に入れ込んで分かれられない元結婚詐欺師とか、そんな間柄は? これでPC間にぎすぎすとした緊張感が!」
 「年の半分ほどをアフリカで過ごすフィールドワーク学者の女性で。最近、親から結婚のプレッシャーが強く、自宅には目に付くところにゼクシィとかが置かれている、とか。」「ぶは。そこだけ妙にリアルですな。」


 二転三転しつつ、自分のPCは「白血病の少女の実の父で、その母親(資産家の息女)の再婚相手。若手の研究者として将来と嘱望されていたが、教授ともめたことから暗転。プライドが邪魔をして職が長続きすることはなく。研究機関を転々とするうちに、ついには声がかからなくなり、派遣社員の扱いで齢40を過ぎる。」という、ダメダメにもほどがあるという甲斐性無しとなりました。
 PCの動機割り振りが、PC1&2「行方不明の知人を捜す」PC3&4「不治の病にかかった娘を癒すため、怪しげな健康食品に一縷の望みを託す」という感じだったので、後者が前者の調査を手助けする理由が少ないのが困りました。家族ドラマの片手間に、事実関係の確認を行っていたところ、「調査して下さいよ」というツッコミをいただく羽目に。精一杯やってるんだってば!
 とはいえ、後者の側に前者の事件の真相に直結するNPC関係が設置されていたため、割と無理矢理絡ませていくことに。調査に手間取った結果、民俗資料館に足を運べなかったのが心残りであります。


 実のところ絡んでいた神話的存在が、破壊的な動機を持っていなかったため、本来なら穏当な終わり方をしたかもしれないシナリオだったようです。導入の行方不明事件も事故に近かったので。
 しかし、穏便な解決でいいのか?
 自分の中の悪戯虫が騒ぎはじめます。そしてプレイヤー目線では明らかに誤解だとわかっている事件が発生した際に、すかさず怪異の責任をNPC(神話存在の落とし子的ななにか)に押しつけ、陶器のツボで頭を殴打。クトゥルフの定番ともいえる、怪異続出のクライマックスを招き入れます。
 うちは、親子(父子)の物語というキャラクターのテーマを追求でき、かつ村の裏の顔に触れることが出来たので楽しかったけど、他のPCにしてみれば迷惑な側面もあったかもしれません。クトゥルフは任務達成を究極目標にはしないからいいかな、と見切り発車した次第。GMにセンス・オブ・ワンダーを味わって欲しい気分も、ちょっぴりございました。余計なお節介でなかったことを祈るばかりです。


 今回は、GMの下調べと準備(そして実体験)からくるディテールと、じっくり時間をかけた演出の数々が功を為し、見事なホラーセッションとなったように思います。
 丁寧だった分、七時間半の長丁場となりましたが、大いに価値があったかと。
 個人的には、シナリオの作り込みが大切であることを再認識した次第です。
 お疲れ様でした。
#あと感想戦時の「親孝行、したいときにSANはなし」にお腹抱えて笑った