断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

特殊用語は避けるべき?

 先日somamitiさんから指摘されたことのメモ。
 Apocalypse Worldは一部で、一般的なRPG用語からすると、少し癖のある語彙を用います。例えば・・・

  • ゲームマスター->マスター・オブ・セレモニーズ(MC
  • 行動判定全般->ムーヴ
  • シナリオ->フロント

 といった塩梅です。


 もちろん、これらの名称はデザイン上の意味をもってつけられたものです。
 例えば、「やるべきこと、やってはならないこと」を限定したマスタリング手法をとるがゆえに、GMではなくMCと呼称しているのでしょう。ムーヴは応用範囲の広さとゲーム世界に確実な爪痕を残す効果から、単純に技能や特殊能力と呼ぶのは違和感があります。フロントは、箱庭的なシナリオ作成手順に沿って組み立てられた、プレイヤーたちの前に立ちふさがる「前線」を指します。ApWは事前計画済みのセッションを否定する方向性を持つため、このフロントがMC側の準備のほぼ全てとなります。
 とはいえこれらをセッション中に、「GM」「技能」「シナリオ」と呼んでも、運用には実質なんの支障もきたさないはずです。MCがルールを心に留めて仕切れば問題は起きないでしょう。


 ところが先日、一回目のセッションを行った際は、事前説明でこれらにこだわってしまったきらいがあります。
 プレイヤーに対して新奇な部分を押し出そうという、自分の思いが先走ってしまったのでしょう。もちろん、終了後に「ムーヴは別に技能でいいんじゃないですか?」とつっこまれました。
 自分の気負いが、プレイヤーにいらぬ警戒心を抱かせてしまったことは否定できません。


 somamitiさんとのダベリであぶり出されたのもまさにそこで、「用語類は出来る限り馴染みあるものを用い、敷居を下げる方が大切」とのアドバイスをいただきました。
 ただでさえポスト・アポカリプスという、サークルではさほどピンと来ないセッティングに、(サマリーなどがあるとはいえ)海外未訳RPGという障壁があるのに、そこでジャーゴンにしか聞こえない言葉を口にしても益はないと。
 実際、その通りだと思います。
 先鋭化して視野狭窄に陥ると、落ち着いて考えれば「当たり前」の事実ですら、自らの肥大化したこだわりがはじき飛ばしてしまう。そんな事態を引き起こしてしまうのでしょう。
 自戒、自制。
 常に三回は深呼吸して客観的な視野を忘れないようにします。