断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

最近のシナリオ作成

 自分は元々データ面へのこだわりが薄いGMでしたが、ここ一年でそれが加速しているように思います。GURPS全盛期の洗礼を受けて、RPGを始めた当初はマンチキン道を歩んでいたと思うのですが、近頃では極端なほどデータ軽視の傾向が見られます。
 とはいえ、一般的なRPGの華はやはり戦闘。
 先日のパラサイト・ブラッドのセッションに参加したときも、三回の戦闘が中心となる構造だったにも関わらず4時間近くかかりました。これは偏った例でしたが、クライマックスや途中の難関として、凝った戦闘が配されるケースはさほど珍しくはありません。


 データにこだわらないシステムを用いていると、戦闘の味付けがどうしても薄くなってしまいます。単なる遭遇戦をルール通りの処理で行おうとすると、あまりに淡泊だからです。なので戦闘は、シチュエーションや、エモーショナルな部分に一癖付与した形で、最小限の回数実施する程度に落ち着きます。
 そもそもPCの行動次第で、戦闘行為そのものが発生しないことも少なくありません。


 ところが、僕のセッションはコンパクトかというと、さにあらず。
 情けない話ですが、時間オーバーの常習犯です。
 で、どこで時間を食うかと言えば、PC同士やプレイヤー同士の会話(ロールプレイと作戦会議的なものを含む)と、PCとNPCの対話じゃないかと。この手のコミュニケーションをGMの側から切ることは少なく、セッションの展開もプレイヤー任せにしていることがほとんどですから。
 結果、時間が読めなくなることが多いわけですね。
 PCの登場シーンに制限のあるシステム(ダブルクロスとか)をほとんど使わないのも、この辺に理由があります。


 では、データ面をほっぽり出し、かつ展開をプレイヤー任せにするなら、シナリオ作成時に何を書いているのでしょうか?


 まずは、シーンごとのイメージ。
 6月にやったBoLだと「闇夜にて砂中より蛮人の黒く日焼けした腕が何本も生え出で、都市に根付いた民を取り押さえ、砂漠の砂へと引きずり込む」「月のない砂漠の空に、月光に似た青白く輝く膜に包まれた船が浮かぶ」というイメージが浮かんだので、それを核として全体を構成しました。
 作り込みすぎると、PCのすべきことが決定されすぎた硬直したシナリオになる危険を持つため、ある程度で抑えるようにします。


 次に、陳腐ですが周辺設定とNPCの方向性です。
 これらをある程度作り込んでおけば、予想外の方向にセッションがすっ飛んでも、概ね対応できます。周辺状況は、PCが関与しなければ、彼らを巻き込む形で事態が悪化するものが望ましいでしょう。日和見プレイが最善になることは避けるよう心がけます。


 最後に時間があれば、PCたちを通して回答を観てみたい、そんな質問を考えておきます。例えば「破滅的とも言える野心に邁進する貴族NPCは、大望へと至ることができるのか?」とか「生まれながらに醜悪な妖術師が心に秘めた恋は成就するのか?」とか「疫病に冒された流浪の民は、安住の地を見つけられるのか?」などです。
 内容は、ゲームとしての面白さよりも、GMが結果を知りたいと強く感じるものがよいでしょう。これはセッションの雰囲気に何らかの方向性を与えると同時に、GMをする楽しみを増加させます。GMが楽しんでいると、その空気はほとんどの場合プレイヤーも巻き込む好循環を生み出すでしょう。
 この項目は、さほど意識せずにやってましたが、AWのフロント・ガイドを読んで認識できたことです。


 シナリオの書き方は各GMの個性が強く出る上、システムにも大きく左右されるものです。しかも、よいものを取り込もうとすれば、頻繁に変化するものでもあります。僕なんかは、一年前とはずいぶん違う書き方になりました。
 人となりが見えてくるので、他人の作ったシナリオを読むのも好きです。自分のは、可読性が高いとはとても言えないため、公開できる代物じゃないのが恥ずかしい限りですが・・・。