断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

NPCデータを用いないシステム

 HeroQuest2のルールを確認していて、最も特徴的だなと感じるのはNPCのステータスが存在しないことです。
 師匠も書いておられますが、NPCの抵抗値やアクションはその場の状況に応じてGMが設定します。能力や性格的な特徴があれば、修正と描写に反映させればいいだけです。
 一発ネタ的な小さいシステムでは使われてきた手法ですが、用途の広いシステムではかなり珍しいのではないでしょうか?


 この手のシステムは一般的なRPG慣れしたプレイヤーを戸惑わせる印象があります。
 というか自分がそうでした。
 Lady Blackbirdも同様(継続対決がないからもっと簡便)のNPCデータが存在しない機構ですが、最初に読んだときにピンとこなかったのです。
 戦闘をはじめとするアクション・シーンは、ゲームを盛り上げる重要なファクターです。スチームパンク冒険ものならなおのこと。なのにLBは、行動順を決めるルールすらない淡泊な処理で済ませてしまうのですから。


 しかし、ルールを読み返し、実際に遊んでみることで、違和感は解消されていきました。
 これらのルールで焦点が当てられているのはPCの行動であり、また、結果もたらされる変化の激しい物語です。
 細かいデータに引きずられない分、想定外の展開になってもGMはプレイヤーへの対処に集中できるため、テンパりにくいという大きな利点が生まれます。
 実プレイでは、プレイヤーのアイデアを拾いつつシーンを作り、どう対処するか促すことでセッションが回転しました。ルールの薄さはほとんど気になりませんでした。


 無論、こういったルールは取り扱いに注意が必要です。
 例えば、データが存在しないということは、例えばNPC同士が対決するなどの状況が発生した場合、その顛末は完全にGMの手に委ねられることを意味します。
 宣言された結果に対し、プレイヤーは不公平感を抱かないか?
 NPCのみで勝手に話が進むことないよう、どうやってPCを巻き込んでいくのか?
 データを扱うときとは異なる舵取りが必要となってくるのです。