断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

プレイヤーの興味を喚起する

 GMにとって最も重要な仕事は、セッションにおいてプレイヤーの関心を惹きつけることだと思います。
 驚き溢れる物語展開でも、戦略性に富んだエンカウンターでも、感情移入を促進するNPCの演技でも、死神と隣り合わせのごときサバイバルでも、転機となる決断を下す瞬間でも、内容はなんでもかまいません。
 キャラクターではなく、プレイヤーがゲームの世界にアクセスできるよう仕向けることが大切なのです。


 ハンドアウトによるキャラクター設定や、それをベースに展開が完全に固定化されたシナリオは、コンベンションにおいて安定したセッションを行う目的においては、非常に有用です。
 しかし、恋人設定や仇敵設定が付随していたところで、GMとプレイヤーの間で認識のすり合わせや、セッション内での補強が行わなければ、プレイヤーの好奇心はついていません。キャラクターがそう思っている、という表層の設定だけを盾にGMがイベントを強行することは、プレイヤーの趣をおおいに削いでしまうでしょう。
 初心者GMにプレイヤーが協力してセッションを成立させるというケースならともかく、通常はGMがプレイヤーをつり上げる努力を怠ってはいけないのです。
 自分が見てきた上手いGMは、意識的であれ天性からくるものであれ、プレイヤーの興味を掘り起こすか、意図を汲み取ってシナリオに組み入れていくマスタリングを行っておられました。


 自分が以前のコメントで、プレイヤーへの経験点リストを用いるのなら、GMにも同様の評価リストを適用すべき、みたいなことを書いたのはこういった意識が根底にありす。
 慣れない人がGMをやっているのを見ていると、シナリオを予定通りに進行させることに意識が傾いている事がままあるように見受けられます。そして、PCが意図したように動いてくれないから、調整でいっぱいいっぱいになってしまったりする訳です。そりゃそうですよね。プレイヤーの首根っこをひっつかんでシナリオ核心部分に頭を押しつけるには非常な労力がいるのですから。
 プレイヤーの興味とシナリオの中心とを結びつけて提示する方が、プレイヤーも世界に入り込みやすいし、強制力を遣わずに済む分GMにも余裕が生まれると思います。
 以上、主に自戒も込めて、書き出してみました。