断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

AWの第一印象

 Apocalypse Worldのテスト版、大体の概要は把握。読み飛ばしが結構多いので、誤読の可能性は高いかも。
 個々のルール面で見るべきポイントも少なくないのですが、このRPGの最大の特徴は、ゲームをデザインするフレームワークとしての全体像を持っていることだと思います。
 これはゲームが未完成という意味ではありません。提供されるデータだけでも十分に終末の世界を堪能することは可能です。
 ただ、AWにおけるMCの仕事、すなわちセッションの準備段階で設定すべき事は、通常のRPGにおけるシナリオ作成というより、ゲームを作成することに近い感触があります。そして準備段階でのゲームを作る行為は、ルール全般にも適用できる形となっているのです。
 おそらくこのRPGは、パーツ単位から全体像までをカスタマイズさせる(もっといえばフレームワークの上にゲームをデザインさせる)こと、を一つの目的にデザインされているのではないかと思います。
#デザイナーの意図を盛大に読み違えているかもしれませんが・・・


 ルール的な焦点はいつも通りコミュニケーションにあるのですが、今回は特にPC同士の関係性が重視された作りになっております。例えば、キャラクター作成の最終段階で、他のPCに対する関心の強弱をHxという数値で設定し、セッション中の手助け/妨害にはこのステータスが影響するといった具合です(Hxルールは刷新されるみたいですが)。キャラクターのタイプによっては、PC間の性的な交わりを通じて何らかの特典を得ることすらできるメカニズムとなっています。
 PC作成は、11種類からキャラクターのタイプを選択し、タイプごとに設定されている「ステータス」「独自の行動」「装備品」などを選べば、ほぼ完成します。
 PCがとれる基本的な行動(basic moves)は、文明が崩壊した世界観に合致したものとなっています。ダイスを振った行動がもたらす結果は、通常不可逆な変化を伴うこととなります。基本は2D6+ステータスが6以下なら失敗、10以上なら成功です。7-9なら、一部成功か、好ましくない効果を伴うこととなります。
 このゲームにおける行動の解決は、コンフリクト解決を取りません。とはいえ、単純なタスク解決でもありません。成功したからといって状況を思いのままにできるわけでもないし、失敗したからといって全てが台無しになるわけでもありません。
 MCがダイスを振ることはなく、プレイヤーに状況を提示し、プレイヤーが決定した行動を判定し、その結果から状況を変化させるのが役割となります。


 MC(GM)のなすべきことは、この二点に集約されています。

• Make Apocalypse World seem real.
• Make the players’ characters’ lives not boring.

 事前準備としては、PCの前に立ちふさがるフロントという状況を作っておきます。このフロントに含まれる諸状況をPCと交錯させることにより、セッションは展開します。PCが関わらなかった場合の結末は決まっているものの、固定された流れというものは存在しません。


 6回程度のキャンペーンを前提としたRPGですが、カスタマイズすることで単発でも十分に楽しめる作りです。
 細かい話は超すっとばししておりますが、期待通り普通のRPGではありませんでした。とりあえず3月に一度遊ぶべく、こつこつ準備を進める所存。