断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

準備のいらないRPG

 〜日継続中、と表示されていると、なんとなく書いてしまう今日この頃です。
 乗せられてだらだらタイプしていると、内容がどんどん無意味化するのは当然でありましょう。今回もメモ書き気分。


 インディ系のRPGにおける一つの流れとして、準備なしで遊べるシステムがあると思います。
 一般的なRPGシステムにシナリオ・クラフトの類がついているのとは違います。PCを極端なシチュエーションに放り込み、彼らの描写や反応から世界を広げていくという遊び方です。GM不要で、他のプレイヤーがガイドやNPCを担当する形式も多いですね。
 大抵の場合、PCは明確で分かりやすい目的(例えば生存、権力、怪物との対峙など)に向かって行動せざる得ない状況に追い込まれています。そのため、ゾンビをはじめとするサバイバル・ホラーを主題とするものが多い印象です。
 とりあえず試したいのなら、無料配布されているGeiger Counter44: A Game of Automatic Fearあたりがええんじゃないかと思います。
 通常のRPGであれば「生き残る、あるいは目的を完遂するための最適解を考える」ことが、キャラクターへの感情移入を強め、時にはGMの思惑すら越える状況を導き出します。セッションを盛り上げるための大きな要因といえましょう。しかし、この手のシステムは(たとえGMがいても)プレイヤーにGMとしての役割と視点を分配します。
 プレイヤーはPCを通じて物語を彩り発展させていく要素を追加していきます。状況を盛り上げるために、自滅的なものや、他PCを危機に陥れることもあるでしょう。これは、例えばメック・ウォーリアのように、1プレイヤーが複数のPCを担当するのとは違います。そういったシステムでは別キャラクターを操っていても、あくまで世界に生きる住人としての視点は保たれるからです。この手のゲームでプレイヤーに切り替えが求められるのは、番組の視聴者、あるいは神の視点なのです。
 この複眼的な有り様が、PCへの没頭を妨げる側面もあります。先日、Lady Blackbirdを遊んだときプレイヤーから、面白いけど、キャラクターとプレイヤーの同調が絶たれて醒める、という意見をいただきました。Lady Blackbirdは固定化されたシチュエーションと、セッションを構築する最低限の設定と材料のみを与えて、あとはプレイヤーの落とした物語の種を拾っていくという構造のRPGです。ダメージやプール・ダイスの回復には、PC同士の掛け合いを通じて、表沙汰になっていなかったキャラクターの設定や側面を語る(つまり口から出任せですな)必要があり、自然にパーツが集まる仕組みになっています。
 すなわち準備不要システムに通じるものがあり、否定的な意見をいただいたことで、いろいろと考えるところがありました。


 現時点で、本格的な準備無し(&GMレス)なシステムはまだ試していません。
 私個人は、元々プレイヤーとして暴れることで話を広げるのが好きだったり、主にGMしていたシステムが、時にプレイヤーにも物語を俯瞰する視点を求める深淵だったこともあり、あんまし違和感なかったりします。けれども、サークルの文化として馴染むかは不明だし、ひょっとすると全く受け付けない可能性すらあると思います。遊ぶとしても、まずは3部の余興からでしょう。
 とはいえ、この形態には大いに期待しているのも事実です。単純に楽しいだけではなく、参加するだけでGMとしての経験を得ることができるのは悪くないかと。若い回生だと、シナリオ作成+GMとしてのセッション・ハンドリングという二重の負荷がかかるため、GM経験を増やすのは大変だ、という意識があるかもしれません。慣習的にシナリオをきちんと作ることが求められているサークルなら特に。こういったシステムは、ひょっとすると、GMとして成長する一助となれるかもしれないと、密やかに希望を抱いているのです。