断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

18世紀の海賊

 こっそり購入していたPoison'dを斜め読みしました。
 「時は1701年。硫黄のジャックと呼ばれた海賊の船長が、血塗れの経歴に終止符を打った。絞首台に吊された死ではなく、剣によるものでもなく、大砲で真っ二つに裂けたわけでもなかった。自らの料理人によって盛られた毒により、殺されたのだ。王命を受けた暗殺者であった。続いて起きることが、このゲームで扱う内容となる。」みたいな導入。
 PCは全員海賊です。
 それも自由な海の男ではなく、殺人や強盗や強姦、そのほか多数の罪に手を染め、狂気にほど近い縁を情熱と欲望に突き動かされるままに生きるような極悪人です。キャラ作成の時点で、まずプレイヤーの倫理観をぶっ壊すような選択肢が並んでいます。
 ルールはシンプル極まりないのに、海賊らしい暴力と熱狂の世界へとなだれ込む設計になっています。海賊物語の主導権はプレイヤーにあります。導入部分で、船長を殺した料理人は甲板に投げ出され、PCを含めた海賊達が取り囲んでいます。彼をどう処遇するのか? 次の船長には誰がなるのか? 残り乏しい食料と水をどのように補給するのか? 暗殺者を使わした王の船が海賊船に迫りつつある中、解決すべき事案は少なくありません。
 30ページに満たない容量ですが、最低限の準備で単発セッションからキャンペーンまでを行えるセッティングになっており、実際の海賊に関する豆知識など、中身がみっちり詰まっています。表紙に「for adults, please」と書かれている通り、幾通りかの意味で大人用。
 デザイナーは、Dogs in the Vineyardと同じ方。In a Wicked Ageでもそうなんだけど、物語のエッセンスをシステムに組み込んで、プレイを通して引き出せるようにするパッケージング技術が半端なく高いです。


 けど、公式例会ではとても出来る内容じゃあございません、はい。