断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

拳闘物語

Contenders: A Role-Playing Game of Blood & Sweat, Pain & Hope
 賭けボクシングのファイターとなって、大切な他者との繋がりを守りながら、暗黒街の過酷な日々を生きるRPG。
 んー、RPGというよりストーリーゲームですね。GMなしで全員が一人ずつボクサーを担当します。ランダム生成装置としてはトランプが用いられます。
 ゲーム進行はターン制で、お金を稼いだり、訓練したり、大切なNPCとの繋がりを深めたりしながら試合に臨みます。これらのシーンはスポットライトの当たるPCと、登場許可が与えられた他PC、そして他プレイヤーが即興で担当するNPCがロールプレイしたり語ったりすることによって形成されます(GMいないんで)。
 PC同士の関わりは開始時点では存在しませんが、他者のシーンへの登場、偶発的な関わり(ジョーカー引かれると次のシーンは直前のシーンと何らかの関係を持つ必要が出てくる)、試合の相手(プレイヤーが指定できる)などによって自然と関係ができあがります。また、他PCの重要NPCに脅しをかけることにより、いかさま試合を強要することも可能です(取り決めを破ると、NPCとの繋がりが失われる)。こうやって拳闘士の人生は時に交錯し、時に不確かな希望にすがり、時に深い苦しみの海で溺れながら、彼らの物語が形作られていくのです。
 PCのうち一人が高い評判を得るか、一人がNPCとの繋がりを失っているのに脅しをかけられた時点で、ビッグ・ファイトが開催され、全PCが参加します。試合結果はどうあれ、その後は各々がエピローグを語り(終了時点のステータスで幸せを掴めるか悲劇に終わるのかが決定される)、物語は終わります。 
 このゲームに明確な勝利条件はありません。栄光を手にするにせよ、ささやかな幸せを守るにせよ、悲劇的な最後を迎えるにせよ、そこに至るまでの過程、すなわち物語こそが重要なのです。舞台設定と、参加者同士の相互作用で物語を自然と作っていくルールはとても興味深い仕上がりです。しかし、キャラクターの目的までもが話を通じて変化していくため、ゲーム的に遊ぼうとすると入り込めないかもしれません。
 Contendersは、苦みのある栄光と挫折の物語を即興で組み立てていくゲームです。参加者全員がそれを了解した上で配慮を持って遊ぶならば、楽しい時間が過ごせるでしょう。今夜リファレンスを作成する余裕があれば、明日の3部余興に持っていこうかと思っています。
 あ、ボクシングや格闘技に関する知識は、一切不要です。