断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

2/21の覚え書き

 シナリオは来週に延期となりました。
 同じ事情を抱えていたGMがきちんとシナリオを打たれたことを考えると、自分のサボり癖が発動しているかな、と思う部分もあって胸がちくちく痛んでいたり。
 せっかく作り込むチャンスをいただいたのだから、それを生かそうと、前向きに考えることにします。


・1部
 Sさんのベルファール魔法学園に参加。再利用だったそうです。
 一般的にはライトな魔法学園ものと見られているこのシステムですが、うちのサークルでは別なイメージがついて回っています。
 古くは自分が現役だった頃、強烈なインパクトあるネタを、このシステムを用いて何本か打った方がおられまして。色の薄いワールドだから、好みの色に染め上げやすかったというのもあるのでしょう。その印象が余りに鮮烈だったため、私なんかは深読み色眼鏡でしか見られなくなっていたりします。たとえ紹介が普通であっても、油断したら地獄が待っているぞ、と・・・。
 今回は紹介の時点で「『不思議の国のアリス』や『果てしない物語』のネタをベースに使っている」「PCたちはいじめっ子グループとなる」みたいな描写があり、この時すでに警戒アンテナがぴりぴり反応。
 PC3人は、NPCを中心とした半ば不良のグループに所属しており、本好きで内気なNPCをことあるごとにいじめるろくでもない集団でした。自分のPCはそのNPCと入学当時は友達で同じように本好きだったけども、要領がいいので、自分がいじめを受けないようにいじめる側に回ったという腐乱気味の設定。


 どう考えても、いじめたNPCに魔法的な報復を受ける展開だったため、他PC二人のいじめがさほど積極的ではなかったため、仕方なく購買のパンを無理矢理大量に食べさせられ喉の渇きを訴えるNPCに、唐辛子たっぷりのスパイスティー(香料の方が多くてペースト状になったもの)を飲み物として与えたり、少し張り切ってしまいました。
 いじめにも創意工夫を!とか訳のわからないことをプレイヤーが叫んでいた気がします。もちろんギャグパートなので、陰湿な感じではないんだけど、ひでー話です。
 もちろん程なくして復讐され、魔法的に本の中に閉じ込められてしまいます。
 ここから不思議の国を巡る旅だったのですが、詳細にマップとイベントが作られており、なかなか楽しめました。ミニゲームも用意されており、シナリオとしての味付けも陰惨さやギャグに極端な針の振れ方をするわけでもなく、バランスがとれていたと思います。
 黒いハンプティ・ダンプティのシーンなどが印象強かったです。


・2部
 GM予定からプレイヤーに変更。
 MさんのGMでシステムはAmerikkka!。
http://rpg.drivethrustuff.com/product_info.php?products_id=58747
 2020年にヒラリー・クリントンの大統領再選を阻止しようと、何者かが彼女を暗殺し、アメリカ全土が内乱に陥って10個ぐらいの国に分裂して30年。主義主張だけではなく文化風俗もばらばらとなった人々のばかばかしく、さらにあほらしい、言い換えればビールのつまみにぴったりのシステムでございます。
 ブラック・ユーモアというにはふやけた切り口であり、ポリティカル・ジョークでもなく、底の抜けた馬鹿話という描写がしっくりくる内容でした。
 いつもながら、よくこんなシステム見つけてくるなあ、と感心することしきり。
 シナリオはテレビ局の企画で、別地域出身のPCたち5人が全米をヒッチハイクしてまわるというもの。


 キャラクターシートが手元にないので、PCの名前が不完全ですが、だいたいこんな構成でした。
PC1 ジョン・レノンJr
 ヒッピーたちの楽園と化した地域の出身。彼らの指導者はバーニングマンと呼ばれ、何らかの呪いを受けて砂漠で永久に燃えながら生き続ける運命を背負っている。 というか、やる気なくて全然指導者じゃない。けどみんなヒッピーだから気にしない。
 ヒッチハイクして新しい車に乗り込むたびに、運転手に大麻を勧めたり、国境突破の際は常に先頭に立ってラブ&ピースを叫び続けた。こんな彼でもヒッピーの中では過激派らしく、グレネードやモロトフカクテル(火炎瓶)を持ち歩いていた。GMとプレイヤーたちの偏見により、彼以外のヒッピーはレミングのように仲間が撃ち殺されても一瞬立ち止まるだけで、再び目的に向かって歩み続ける生物であった。人間とは思えない。
PC2 ジョナサン
 新自由主義が極度に発展した地域出身のビジネスマンで、進みすぎた個人主義とプラグマティズムに血の一滴までも染め上げられている。他のPCが危険地域にあっても自分のスタイルを押し通そうとするので、それを柔軟に調整し、いざというときはコネクションや財布を差し出す頼れる人。もちろん全米各地を巡ることで、仲間たちと自分が潜り込めそうな商売の機会は逃さなかった。バーニングマンが燃え続けるのを見て、そこに火力発電所を手配するやり手。
 PCの中で唯一まともに話が通る人。
PC3 ジョージ・ホーガン
 テキサス出身の元軍人。テキサス州は、中国もびっくりの超格差社会となっており、富裕層が石油を牛耳ってさらに豊かになり、貧しいものは工業汚染された地域で平均寿命20才ぐらいの人生を終えるという地域。指導者はレーガン・ブッシュ。混ぜるな危険。
 ホーガン氏は従軍経験があり、ベトナム、キューバなどに従軍経験があるという。ベトコンに苦しめられた悪夢が今でもフラッシュバックする。いつの時代の人か全く不明。自分を曲げないプロテスタントでもある。
PC4 ビッグ・ラットマン
 アメリカの中でも、一番理解に困ったデトロイトを含む北部地域の出身。まず、通貨が肉。生なのか干し肉なのかは不明だが、PCは生の赤身ステーキ肉を持ち歩いていた。ここでは国民すべてがライフルを愛好して狩りに日々を費やしているらしい。
 指導者は、右派の元ラジオDJで、Tボーンステーキから不死の秘密を発見して、不死身になった男。この時点でも相当意味不明だが、彼の台頭を危惧したマイケル・ムーアが丸呑みしてしまったらしい。だが死なない男はムーアの胃から手を伸ばし、ついには脳を掌握するに至った。基本は「ボーリング・フォー・コロンバイン」に絡んだ全米ライフル協会ネタなのはわかるんですが、小ネタを混ぜすぎて僕の頭では理解不可能でした。まあ、とりあえず肉食えよ、ってことですね。
 ラットマンは伝統のださださファッションに四角に近い巨体を包んだ男でした。ピックアップトラックをヒッチハイクしたら、荷台でバーベキューを開始するいい男。本人曰く「骨太」だそうです。それはサウスパー(略)。
PC5 コーレル・マクネイル
 エコロジストとゴスに支配されたシアトルの出身。環境テロリスト、もとい偉大なるエコロジストの皆さんが、化石燃料を完全に排除してメンテナンスを放棄したため、崩れていく建物や道路を見てゴスの皆さんが「クールだねえ」と大喜びしている地域だとか。ヒッピーの国に次いで、どうやって生活の糧を得ているのか不明な人々である。ゴスな連中の指導者は、自称ヴァンパイア・ロードで、やつらは棺桶で寝るらしい。
 コーレルは太陽の光が苦手な程度の、なんちゃってヴァンパイア(自称)。「ドラキュラ?あんなのフィクションだよ。すでに70年前アン・ライスが指摘したとおりだ」とか口走ってた。19世紀型に偽装した最新式デジカメを駆使する写真家である。モノクロ以外では写らない設定になっている。黒いトレンチコートの下には日本刀を忍ばせ、闇夜でもサングラスを手放さない。スコットランドのハイランド出身とか言っていた気がするけど、ネタを混ぜすぎて把握しきれなくなっただけの妄言である。聖典として、ヴァンパイア:ザ・マスカレードのルールブック(希少本)を持ち歩いている。「見たまえ、この緑の大理石にバラの花をあつらえた表紙を!クールだよ!」「でもこの本ここに、フィクションって書いてありますけど?」「・・・そ、それは恐ろしい真実から人々を守るための配慮だよ」


 ジョナサン氏がいなければ5分で空中分解しそうな連中でありました。
 ヒッチハイク自体はコーレルがPresenceを最大値まであげていたため、楽に引っかけられるのですが、問題は国境をいかにして突破するか。ぶっちゃけていうと、ほとんどの国々が戦争状態であり、国境はその最前線なわけです。銃弾飛び交うならまだましな方で、地雷原が設置してあったりするところもあって、正直命がいくつあっても足りません。アメリカ横断のため、幾度にも渡ってこれを超えろと言うのが、パラノイアGMの面目躍如たる無茶振りでした。
 例えば、このアメリカにはカソリックの支配する地域があります。内戦勃発時に助けを求めたカソリックに対して、当時法王だったケネディ家の人物がバチカンから軍を派遣して地域を掌握。国境を接する3カ国すべてと激しい戦争状態にあるというトチ狂った場所です。彼らの秘密兵器は前線に配置されたロボット兵P.O.P.E。前線派遣された枢機卿鉄人28号的コントローラーで操る戦争マシーンであります。
 PCたちは国境を越えるため、ジョン・レノンJrを中心に巡礼に訪れた信徒に偽装。説得力を持たせるために、聖痕から血の流れるメーキャップを施し、ジョナサンが催眠術をかけジョン本人が自らを聖者だと思い込むようにします。無事国境を越えて、カソリックな兵士に拘束されたまでは良かったんですが、ロボ操作のため前線におられた枢機卿自ら検査を命じられます。ジョンが「神の意志はラブ&ピースですよ!」と口走ると、「しかし我らの神はプロテスタントの豚どもを皆殺しにせよと啓示を下された」との答え。医療検査され聖痕が作り物なのは即ばれてしまったわけですが、なんとか取り繕って解放されかけたそのときでした。ホーガンが「俺はプロテスタントだ。お前らにはしたがえねえ」と叫びはじめて場は大混乱に。
 他のPCが軍用車を強奪して逃亡を図る中、ホーガンはがんばってロボットのコントローラーを奪います。しかし、機械操作の判定に失敗。建物の下で車を動かそうとしていた他PCたちにコントローラーを投げつけて援護を頼みます。そこからの操作ロールは何とか成功して、GMが「じゃあ、ロボの行動とダメージを決めようか」とダイスを振ったところ、見事ファンブル。
 「これは爆発しますよね」「んーGM。いいたかないけど、このロボットの原動力ってひょっとして原子力だったりしません?」「あー、たぶんそうですね」という会話により、国境付近は核の炎に包まれました。これで生きているPCどももおかしいのですが、そういうゲームです。おそらく。


 基本的にこうった、お酒と相性の良さそうなノリで進んだのですが、さすがに3時間を越えたあたりでこのテンションを維持するのはしんどくなってしまったのが、唯一惜しい点です。結局4時間半ほどで、最後驚愕の展開が訪れPCの一人が木星付近に消えておわりました。
 一ヶ月分は余裕で笑った気分。うちらがやり過ぎた気もしますが、きっとこんな世界で間違ってません。GM使った設定の8割ほどはルールブックに記載されていた模様ですので。恐るべしAmerikkka!。