断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

初めてのゲームマスター

 連想ゲーム的に思い出しちゃったので、生まれて初めてゲームマスターやったときの話をちょこっとだけ。
 高校時代、某クラブの部室を乗っ取って休み時間や放課後を中心にRPGを遊んでおりました。なもんでシナリオはかなり短いものだったはずです。初GMの時に用いたシステムは『モンスターメーカーRPG』というもの。なぜソードワールドじゃなかったのかは思い返せば不思議な話ですが、誰かが使っていたから別のシステムを、ってことだったのかな?
 作ったシナリオは、魔力を持つ指輪が手にする人を狂わせ、そこにPCたちが巻き込まれるというもの。指輪は元々祝福されたものだったが、代々の持ち主の怨念が溜っていき、ついには呪われたものとなった、とかそんな設定だったかと。『指輪物語』を読み終えた高校生がまんまなシナリオを作ってしまった、つーことです。はっきり言うと、人々の思いがこもった結果呪われた指輪以外のプロットは全然覚えていないし、たぶんほとんどなかったんだと思われます。
 セッション最後でPCたちは指輪を手にします。ゲームマスターとしては、危険な品だから人の手に触れ得ない場所に捨てるか、封じる手段を探すという程度の想定しかありませんでした。しかーし、プレイヤーから発されたのは「じゃあ、ここで指輪を破壊します」という言葉。まったくそんなことは考えていなかったので大いに困りました。プレイヤーに確認をとりつつ、必死に指輪が破壊されたら何が起きるかを考えました。力が失われるのは確かとして、問題は指輪に込められた怨念です。人々を争わせ破滅に導く怨念が力を得て飛び出したらどうなるのか?
 出した結論は「破壊された指輪からあふれ出した怨念が、PCと村人を飲み込み、とりつかれた人々は武器を手にお互いを殺し合う」というものでした。PC以外は皆殺し合って命を落とし、生き残ったPCが戦闘して、片方が気絶したところで正気に返るという落ちをつけたと記憶しています。プレイヤーは「バトルロイヤル1位だ!」とか楽しんでいましたが、考えれば凄惨な光景が広がっているわけです。当時は私も全く深く考えることなく、屍となった人々は忘れ去られました。けれども、思い返せばRPGを始めた頃から『深淵』とかに手を出す資質はあったのかもしれないな、と考える次第です。同時に想定外から話を作っていく、という楽しみを知ったのかもしれません。記憶の片隅に埋もれていたけれど、案外いろんな種が詰まっていたのかもしれませんね。