断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

責任者は誰?

 TRPGのセッションは常に水物です。きっちり準備して大失敗することもあれば、前日に1時間こねただけの紙ペラから奇蹟のような名セッションが生まれることもあります。いずれの場合も、終わった後に短時間であってもセッション内容について話す機会を設けるのは有用です。時間的制約がかかっている場合もあるだろうし強制するものとは思えませんが、感想戦によって失敗したと落ち込んでいるゲームマスターに対するフォローが行えるのも重要です。場合によってはセッションレポートをwebにあげたり、関係者のメーリングリストなどに投げるのも、似た効用をもたらすかもしれません(書き起こすことによって記憶が再構築されるし、メールだとやたらアグレッシブになる人もいるので、個人的にはその場で話し合うのがお勧めですが)。
 さて、こういった感想話で問題になりうるのは、失敗部分の戦犯捜しが行われる危険性です。RPGは参加者全員の共同作業であり、シナリオの中身が余りにすかすかだったなどの言い逃れできないケースを除いては、誰かに責任を帰するものではありません。よしんば責任の所在が明らかであった場合でも、一方的に責め立てることなく良かった点やアドバイスなどを織り交ぜて行くべきでしょう。現役の頃に一度査問会された時も、(私がシナリオ作っていなかったのが原因なんだけど)直してゆくべき点の指摘や美点も含有されており、自分の癖を把握できたし糧になった部分も少なくありません。コミュニケーションのゲームだから、押すべき箇所と引くべき箇所をわきまえるのが肝要でしょう。
 しかし、ネットを見ているとどう見ても個人攻撃にしかみえない責任の問いかけや、本人は自信満々のつもりでも見当外れな指摘やとんちんかんなアドバイスをされる方もおられるようです。大抵の場合、ご本人は豊富な知識と経験に裏打ちされた技量をもち、ゲームマスターであれプレイヤーであれまるで完璧にこなしているような口ぶりです。ところが、多くの場合感情的に気に入らない対象を叩いているに過ぎないため、一見隙のない名文でも、よく読むと無茶なことが書かれていたりします。そのくせ、プレイヤーによるフォローでセッションが成功したのに、全く気がつかず、自分の技量と勘違いして更に鼻高々になったりとか。人ごとながら、見ていて辛くなることすらあります。
 自分もTRPGの技術的な側面はサークルで叩き込まれたこともあり、こだわりがあります。ゲームマスターとしての自己評価が常に低いのも、自分からしたらミスした部分やいたらぬ部分が全部見えるから当然なんだけど、先輩方から言わせると「野心が高い」証らしいので、一歩間違えると老害化する危険があると自覚しています。なので先の例を反面教師として、悪癖に陥らぬよう自戒するようにしています。