断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

許容範囲

 夕方から大雨と雷雨が降り注ぎました。幸い帰宅するころにはほぼ止んでましたが。
 で、帰って冷麺を食べながら、週に2回ぐらいチェックしている2chの深淵スレをみていると、興味深い展開に。基本はコンベンションにおいて性的な描写を控えるべきか、みたいな話です、実例込みで意見のやりとりがなされていますが、ここに各人の深淵観が垣間見えて、それが面白いなと感じてしまいました。「面白い」と書いちゃうと失礼に当たるかもしれませんが、主要な遊び場がサークルであり、この前の深淵CONが10年ぶりぐらいに外で遊ぶ経験だった身の上なので、自分とは無縁の話と気楽に構えているのでしょう。
 そいでもって、問題とされた話題については「参加卓の様子をみつつ決めればいいんじゃない?」以上の意見は持ちません。(コンベンションにおいて)ゲームマスターが性的な要素を持つシナリオを打つなら紹介時に宣言すべきだし、プレイヤーはそういう卓に参加している時以外は自制すればいいだけのこと、程度です。人によっては自分の持っている深淵観が攻撃されているように感じるからもめるのかもしれませんが。サークルでさえ人間関係には気を遣うのに、いわんや初対面がほとんどのコンベンションをや、という常識的な人間関係の感覚を働かせれば、そうそう問題が起きるとも思えません。甘いかな・・・。


 じゃあ、翻って自分のシナリオやセッションではどうかなと顧みてみましょう。サークル復帰後の今年度に入ってから、記憶にあるのは2回。
 1回目は構造型のシナリオで、あるPCとNPCの貴族の姫君が身分違いの恋で引き裂かれるが、姫君はすでに子を身籠もっていたという事前設定をつけていました。一応この子供らしき存在との邂逅がシナリオの中心に据えてあったのですが、プレイヤーが作った設定はどっちともとれるような内容でした。なのでオープニングで過去の思い出として、共に身を横たえていた褥から身を起こし姫君が話しかけてくるというシーンを作りました。意味が伝わればよかったので実際の描写などはありません。
 2回目は渦型シナリオで、漆黒の馬車に乗り旅するモロイの娘がPCの少年を誘惑するシーンを作ったことです。この時も身を寄せ合って耳元に囁きつつ眠りについた、以上のことはしませんでした。プレイヤーがPCを動かすための材料を得てくれればそれでよかったし、明確なシーンを作るならそれはプレイヤー側からの要請あって考えるというスタンスだったからです。もし要請があっても「じゃあそういう間柄になったということで」と最低限の描写をしてフェードアウトさせて終わったと思いますが。
 思い返すと、深淵のゲームマスターをやる時は自分は好き勝手に物語の材料を考えて、プレイヤーにはやりたいように遊んでもらっているつもりなのに、意外と抑えているのかもしれません。むしろ、ウォーハンマーRPGとかシャドウランとかを遊んでいる時の方がそっちの方面ではずっと暴走しているかも。おそらく私が深淵でやりたいのは幻想味の強い物語の要素が入った土壌を準備して、プレイヤーにそこで自由に植物を育ててもらうことなんでしょう。ぐにゃぐにゃの蔓が伸びていったり、とげだらけの素っ気ない茎と葉が育ったり、花が咲いても色がおかしかったり、突然正体不明の実がなったりするわけですが、それが楽しいのです。その中では性的な要素は重要な養分ではあっても、土壌そのものにはなり得ないと考えているのかもしれません。(蛇足ながら、そう口では言いつつも当初自分の準備した物語とあまりにかみ合わなかったりするとへこんで自己評価を下げていきます。また、世界のリアリティや幻想物語に対する考え方にはある程度のこだわりがあるめんどくさい人間です。なので、ここに書いたのはあくまでも理想つーことで。)


 ま、ぶっちゃけ、深淵みたいな幻想ものにおいてそのものずばりを出したり描写するのは興ざめで、ほのめかしや細やかな仕草や言葉のやりとりなどの想像力を刺激するやり方のが好みなんですよ。たぶんそんだけ。