断片の物置、跡地

記憶の断片が散乱するがらくた置き場

サークルとコンベンション

 普段はサークルでRPGを遊んでいる身の上ですが、先週末はコンベンションに行ってみました。京都深淵CONという、ファンタジーRPG『深淵 第二版』のみをプレイするという集まりです。
 実のところ10年ほど前のJGCに参加して以来、サークルの外部でRPGを遊んでことがないというひ弱な純粋培養ゲーマーだったりします。その上、サークルの先輩方にはコンベンションでの恐怖体験を小咄として語ることを得意とされる方も何名かおられ、内心はびくびくしながら会場へと向かいました。
#10年と言っても、うち数年はRPGしていない期間があったり


 感想は多岐に渡っているのですが、一番感じたのはサークルとコンベンションのあり方の違いです。
 サークルは、大学サークルということもあって、その場で遊んで「楽しかった」だけでは終わらせず新人を育て同時に「技量」的なものを切磋琢磨してゆく側面があります。時には忌憚なき意見も口にされますし。個々の趣向は違えども、同じ組織に属する仲間意識はそれなりに強固です。
 それを補佐するためにセッション終了後に感想戦を行い、感想用紙にゲームマスターとプレイヤー全員が感想を書き込み保管するというシステムを取っています。時間の都合やセッション内容によっては省略されることもありますが、厳しい意見が飛び出すことも希にあります。自分が現役の時は、私の準備不足による大失敗セッション時に一度(半ば冗談を込めて)「査問会」と称する反省会を設けられて、ぺっしゃんこにされたことがあります(笑)。さすがに今はそこまでやらないでしょうけど、必ずしも遊んで楽しくてハッピー、というだけには留まらない側面を持っているあり方のサークルに所属していたわけです。


 対してコンベンションでは、面子で一緒に遊ぶ機会がその後設けられる可能性の低い空間です。RPGという遊びに対する感覚も人によって大きな開きがあるでしょうし、到底相容れない人同士が同じテーブルに着くことすら起こりうるでしょう。そんな環境で「楽しい時間を過ごした」という感想を持って帰ってもらうのが目的となるわけです。特に『深淵』というマイナーなゲームを好む同好の士が集まり、可能なら新規さんへの門戸を開くきっかけともしたい、という目的を持つコンベンションだったので主催者や一部の参加者はずいぶんと気を遣っておられる印象を受けました。普段の自分がいかに気楽に遊んでいるのかを強く実感した次第です。
 今回参加したコンベンションでの一つの工夫が感想用紙の存在でした。セッション終了後感想用紙をGMとプレイヤー全員に配り、その人に対する感想をそれぞれ書いてゆくというものです。一期一会に近い相手に対して、忌憚なき意見を書き綴るのはよっぽどの勇者か空気が読めないかのどちらかでしょう。結果、いい部分が抽出されることになります。加えて、閉会式の時に各テーブルのゲームマスターが見所などを紹介する機会も設けられてました。締めの部分でも「いいところ」を強調するクッションがかかるので、たとえセッションで不満を抱いていたとしても緩和される作用があるのでしょう。うまい工夫だなと感心しました。


 似たような感想用紙でも、全く別の目的で使われている差異が興味深かったですね。また、所属サークルを持ちつつコンベンションに参加されている皆様の労力を考えると、それだけでも頭が下がる思いでした。自分にはまねができそうもないなあ。